
「炎上」。そう聞いてドキッとした人は少なくないでしょう。どの会社においても、プロジェクトを進めるには何かしらのトラブルがあるかと思います。そうした火種を大きくすることなく、鎮静化に努めることこそ、プロジェクトリーダーに求められる役割の一つです。そこで今回は、パナソニック システムソリューションズ ジャパン執行役員(現、パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー カンパニー役員)の木部智之氏による『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』(KADOKAWA)を紹介します。火消しのプロが公開する“秘技”とは?
日本IBMでは「木部再生工場」と呼ばれる
本書の具体的な技法の前に、まずは著者である木部氏について紹介します。
木部氏は、2002年に日本IBMにSEとして入社。3年目からプロジェクトマネージャー(PM)となります。同社では、最初こそ“普通”のプロジェクトを担当していたと言いますが、次第に炎上してしまったプロジェクトにも声がかかるように。木部氏が加わると炎上プロジェクトが鎮静化することから、いつしか「木部再生工場」と呼ばれるようになったと振り返っています。

木部氏が関わってきたプロジェクトは規模も役割も様々。ピーク時には2,500人程度のプロジェクトで約600人のグループリーダーを務めたり、大規模プロジェクト内の少人数チームを立て直したりすることもあったそうです。プロジェクト内容はシステム開発がほとんどだったと言いますが、それらの業界や業種に偏りはありません。それに「木部再生工場」の品質は折り紙つき。グローバルIBMが定める、PM最高位であるシニア・コンプレックス・プロジェクト・マネージャーにも認定されています。
木部氏はその後、2018年にパナソニック システムソリューションズ ジャパン(現、パナソニック コネクト)に入社。パナソニックのBtoBソリューションの新規立ち上げなど、難易度の高い重要プロジェクトを歴任したと言います。木部氏は外資、日系企業どちらの経験もあり、その経験も様々だそうです。
PMBOKを学んでも得られなかったこと
プロジェクトマネジメントの世界基準に「PMBOK」(Project Management Body Of Knowledge)があります。プロジェクトマネジメント、とりわけ「プロジェクトの管理手法」についての知識を体系的にまとめたガイドのようなものだと言います。

木部氏はPMBOKを理解し、その資格であるPMP(Project Management Professional)を取得。先述のように、PMBOKはあくまでプロジェクトの管理手法のガイドなので、それぞれの技法をどの場面で使うかまでは書かれていません。それに、炎上したプロジェクトでは慌ててしまいますよね。そうしたことから、より実践的な内容に落とし込んでいるのが本書だと言います。
木部氏の経歴、本書の目的を理解できたところで、プロジェクトはどうして炎上してしまうのでしょうか。次のページではそのメカニズムを解明します。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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