スマートファクトリーの生産能力はどうカイゼンすれば良いのか?
PTCが提供するThingWorxはモノづくりのためのプラットフォームで、ビジネス変革のためのIoTアプリケーションの稼働基盤になる製品である。2022年6月現在、世界の製造業の450社以上、1,600の工場が「工場のIoT」の観点で導入しているという。
モノづくりの世界では、製品ライフサイクルの企画、設計、生産、納品後のアフターサービス、廃棄に至るプロセス全体をデータで追跡可能にする繋がった状態を「デジタルスレッド」と呼ぶ。ThingWorxを導入した企業は、このプラットフォーム上にアプリケーションを展開することで、コネクテッド環境でのモノづくりに必要な状態監視や遠隔制御を実現できる。また、Vuforia Studioとの組合せで拡張現実(AR)アプリケーション、ThingWorx Analyticsとの組合せで機械学習を活用した予兆保全のアプリケーションの稼働基盤としても利用できる(図1)。
このThingWorx で稼働するアプリケーションとして、PTCが新しく提供するのがThingWorx Digital Performance Management(以降、DPM)である。DPMはスマートファクトリーに特化したアプリケーションで、プラットフォームにThingWorxを導入していなくても、単体で稼働する。
製造業を取り巻くビジネス環境は、2022年に入ってから不確実性を増すばかりだ。難しい状況を乗り切るために欠かせないのがデータの活用である。メーカーの経営者には「売上増大」「コスト低減」「総合設備効率の改善」の3つのテーマ全てで積極的なデータの活用が求められている。記者説明会に登場した桑原氏は、「DPMが焦点を当てるテーマは、3つ目の総合設備効率(OEE:Overall Equipment Effectiveness)の改善」と説明する。
一部には、MES(Manufacturing Execution System)への投資で工場の生産プロセスの効率化に取り組んできたところもあるが、現場の改善は個人の属人的なノウハウや過去の経験に依存しているところの方が多いのが実情であろう。ある分析によれば、製造業全体のOEEの平均は40%から60%程度。85%を実現している超優良企業がある一方、人間の関与が多い業態の企業の中には20%のところもあるという。桑原氏によれば、「ThingWorxのお客様の中には、導入後にOEEを10ポイント改善した企業がある」という。生産状況を改善すれば生産量の増加、生産時間の低減、多様な需要への対応が可能になる。