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財務会計から探る、VUCA時代におけるIT部門のあり方

簿記3級・2級の教科書から学べ! 技術者に求められる「会計知識」と基幹システムの設計思想

【第2回】簿記に盛り込まれている、会計システムのエッセンスとは

 DXブームの影響で、企業のアプリケーションエンジニアに求められるスキル要件は大きく変わろうとしています。ロールモデルを見つけるのも難しい中、どうすればこれからの時代を生き抜くスキルを身に付けられるのか。今回は、エンジニアが学ぶ会計知識の指針として、簿記検定の試験内容を題材に具体的な方法を紹介します。特にマネジメントキャリアを志すアプリケーションエンジニアには、スキル要件の根幹を成すために参考とできる良い方法です。

効率的かつ効果的な「会計知識」習得の方法

 会計知識習得にあたり、最も有効な教材として簿記検定の内容が挙げられます。

 日商簿記検定2級は、近年TOEICと並んでビジネスパーソンにとても人気の高い資格です。実際のところ難易度はどの程度なのか。最近の合格率を調べてみると、回による変動が大きいものの2級は20%前後で推移しているようです[1]。3級の合格率も50%前後で、決して簡単な試験ではありません。この合格率の低さは、試験出題範囲の変更の影響が大きいと思います。

 2000年前後から「会計ビッグバン」と呼ばれる企業会計に関連する諸制度を欧米と同レベルとする動きにより日本の会計は大きく変わりました。これにともない、検定試験も主要な変更への対応に加え、より実際の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるよう見直しが繰り返されてきました。中でも最大の変更は、2017年11月試験から、旧1級の範囲だった「連結会計」が2級に移行したことでしょう。

 最近も2021年4月からの「収益認識に関する会計基準」の施行開始にともない、2022年6月試験から3級と2級の両方で新制度が反映されています。会計ビッグバン以降、日本は日本企業のプレゼンスを高め、世界の投資家を引き付けるための多くの改革を実施してきました。会計コンバージェンスと呼ばれる日本の会計基準を国際会計基準(IFRS)と同等にするための一連の基準改訂もその一つであり、新しい収益認識基準の導入はその中でも重要と位置付けられるものです。また、同様に2022年4月の東京証券取引所による市場区分の見直しも世界の投資家を意識したものとなっています。

 何事も基礎をおろそかにはできません。実は企業の基幹システムとしてのアプリケーションの基礎となる知識は簿記3級にあります。3級で会計の基礎である勘定科目や仕訳、そのルールの理解、そして会計帳簿について学びます。一方で2級の資格取得に必要な内容については、自分が担当しているシステムを理解する指針にしてみるのもいいでしょう。というのも、2級ではその知識を基礎に連結会計を含む上場企業の会計処理と、原価計算のロジック、仕組みの理解が求められる違いがあるからです。アプリケーションの機能構築に必要な知識は2級に含まれているわけですが、“会計の仕組み”を学ぶという点において簿記3級はとても重要なのです。

[1] 参考:受験者データ(商工会議所の検定試験ホームページより)

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データフローを理解する上で欠かせない3級の勉強

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この記事の著者

篠原 史信(シノハラ チカノブ)

予算管理EPMベンダーであるBoard Japanのカントリーマネージャ。Workday となったAdaptive Insightsでも代表職を務め、30年にわたり、財務・非財務のBI領域で活躍するオピニオンオーナー。近年では、経営企画DXとしてFP&A概念の浸透に情熱を注ぐが、BSCやTO...

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