SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine Press

アルペングループが進めた“レガシーとExcel”からの脱却 400店舗1000万SKUのデータ活用へ

経営判断に大きく寄与する「Board」を活用したデータドリブン戦略


 コロナ禍や東欧の軍事侵攻といった厳しい社会情勢、インフレによる経済悪化など、近年私たちの身の回りは高速にその様相を変えている。この激流を生き延びるには、小売においてもスピーディーで精度が高い経営判断が必要だ。しかし、いまだ重要な判断の根拠は、人手による表計算ソフトの集計値というケースも多い。こうした現状を一掃し、データドリブンな経営を目指せるツールがBoardだという。本稿では2022年7月22日に開催されたオンラインイベント「Board Day Japan 2022」において講演された、アルペン 執行役員 デジタル本部長 兼 情報システム部長 蒲山雅文氏の事例セッションをレポートする。

目指したのは、手作業のCSVや表計算ソフト作業の一掃

 「スポーツをもっと身近に」というパーパスのもと、スポーツの総合物販・サービスを提供するアルペングループ。全国におよそ400店舗を構え、会員数800万人、取り扱いアイテムのSKU(Stock Keeping Unitの略で、受発注・在庫管理の最小単位)は1000万を超える。

 蒲山氏は、2019年からアルペンに参画。情報システムの責任者として、同社のITを刷新する役目を担う。当時同社のITシステムは、過去に外注依頼した基幹システムに、物販のための発注系、物流系、店舗系から生じるデータを統合していた。

 そして経営判断に利用するデータやその分析は、基幹システムからCSVや表計算ソフト用ファイルを出力し、それを手作業で加工し作成していた。蒲山氏は前職のコンサルタントとしての経験を活かした視点で、当時のITシステムの状況を確認。「業務内容はほとんど表計算ソフト作業であり、この作業時間を削減することで“考える時間”にシフトさせる必要性を感じました」と、既存システムの刷新に至った経緯を振り返る。

 そこで、システム変更のために外注してみると、「コストが発生するだけでなく変化に対して柔軟な対応を取りにくい」「内製化するための人材が不足している」「既存のシステムはブラックボックスで手を入れにくい」……といった状況が判明。そこでツール導入での対応を目指し、比較検討の上で2019年後半にSaaS版「Board」を採用したという。

レポート作成のため、表計算ソフトの作業に時間を費やしていた
レポート作成のため、表計算ソフトの作業に時間を費やしていた
[画像クリック]

 まず、蒲山氏は膨大な表計算ソフトによる作業の一掃を目指す。既存の基幹システムには手を触れず、そこから出力されるCSVやファイルをすべて手作業でBoardのデータベースに入力。その後、取り込んだデータの表示画面を作成し、レポートとして出力する作業を推進する。

 レポート生成までの流れが、プロトタイプとして他部門にも見せられるようになった時点で、実務部門の巻き込みを始めたという。どのようなデータをどう扱い表示すれば実務に役立つのかをディスカッション。実務部門のフィードバックをIT部門に送り、データベース設計や画面構築を修正し、実務部門が検証するといったアジャイルな体制で開発を進めた。

 蒲山氏は「結果的にはBoardの専任として1名、あとは私やマネージャーといった管理職が0.3名ぐらいの体制で、既存システムに一切手を加えることなく稼動を開始できました」と少ない人員でも対応できたと振り返る。

既存システムはそのままに、トライアル稼働した
既存システムはそのままに、トライアル稼働した
[画像クリック]

次のページ
成功例を元に、全社展開を目指す。データドリブンへの第一歩

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/16477 2022/08/29 18:23

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング