NECソリューションイノベータは、作業現場で撮影した動画や静止画をリアルタイムにAIで解析し、品質や進捗状況を見える化する「NEC AI・画像活用見える化サービス」の新機能「AI判定画像出力機能」を、8月30日より提供開始する。
食品製造業では、生産工程における外観検査を熟練した作業者が目視で行うのが一般的だが、昨今、作業者の高齢化と人材不足による次世代への技術継承が大きな課題になっているという。そこで同社と極洋および極洋食品は、2017年より冷凍食品工場の生産状況を、AIを活用して見える化する実証を開始。大きさや形に個体差のある原材料を扱う場合、AIによる不良品判定の精度向上のためには、大量の教師データの作成と継続的な精度向上が必要であることから、AI判定画像出力機能を開発したという。
同機能は、AIによる画像判定の精度向上のため学習用画像の収集およびアノテーション作業を省力化。これまでは、学習用画像の撮影・収集と、良品・不良品をラベル付けするアノテーション作業は、手作業で行う必要があったという。同機能の提供により、メニュー画面のボタンをクリックするだけでAI判定済みの画像と判定結果のデータから、自動で良品・不良品ラベルを付与したアノテーション済みのデータを生成し、教師データとして利用できるとしている。
同機能を先行納入した極洋および極洋食品におけるエビフリッターの製造ラインでは、社員が実施していた6,000尾のエビが写る200枚の画像にかけるアノテーション作業を、従来の60時間から、3分の1の20時間へ削減する効果が得られたという。AI判定精度も向上し、作業終了時刻の正確な予測や不良品増加時のリカバリなど、作業現場での改善活動にも貢献しているという。
機能の概要
対象物のカメラ撮影から、対象物のAI判定、AI判定結果をもとにした画像へのラベル付与、アノテーション済みの教師データの出力までを、メニュー画面のボタンをクリックするだけで可能に。教師データは、Pascal VOC形式のxmlファイルで出力するため、判定結果を必要に応じて補正でき、大量の教師データの準備時間を削減できるとのこと。なお、現場担当者が直感的に操作できるUIを実装しており、同機能もメニュー画面からの簡単な項目選択により利用可能だとしている。