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日本で芽吹く「防災テック」大分県を襲った豪雨、福井県の雪害でも活用されるSaaS生みの親を訪ねた

SNSや気象データなどから危機を可視化、迅速な防災を可能にするAIソリューション

 大雨による冠水、地震、40度を超える猛暑など危機的な状況が頻繁に発生している。気候の影響によって災害となるケースも多く、令和3年の土砂災害は972件を数えた(国土交通省発表「令和3年の土砂災害」)。7〜8月だけで8割と集中する傾向が見られるが、気を抜くことはできない。日本は東日本大震災の教訓から、河川の管理強化、堤防の高さを上げるなどハード面の対策は実施する一方、ソフト面の取り組みが遅れていると指摘するのは株式会社Spectee(スペクティ) 代表取締役 村上建治郎氏。今回はソフトウェアの活用で「危機を可視化」することを企業ミッションに掲げた同社の取り組みを紹介する。

防災専門のSaaSで、ソフトウェアからの危機管理を目指す

 スペクティ社は、自然災害やその危機管理に役立つサービスをSaaS形式で提供する2011年創業のIT企業だ。「Spectee」という名のソリューションを2014年に発表し、そこから数年はテレビや新聞といった報道機関が、SNSの情報からニュースをいち早くキャッチするために活用していた。2020年、多様なデータを取り込めるよう大幅にアップデートした「Spectee Pro」を発表。現在は、災害対策が必須の自治体、災害情報に敏感なサプライチェーンをもつ製造業や物流業といった新たなユーザーを獲得し、ますますその活動範囲を広げている。

 Spectee Proがもたらす一番大きな効果は何か。スペクティ社 代表取締役 村上建治郎氏は「今どこでどんな災害が起きて、どのくらい被害が出ているかを可視化できることです」と語り、災害発生時の被害範囲や規模なども予測できる点を強調した。

Spectee社 代表取締役 村上建治郎氏
スペクティ社 代表取締役 村上建治郎氏

 同製品は、TwitterやInstagramといったSNSの情報、気象情報、交通情報、自治体避難情報といった多様な情報、さらに約1万台ある国内の道路・河川カメラの画像を一括収集しAIで解析、現在の災害状況はどうなっているかを地図上でわかりやすく表示できるSaaS。最近では、各所の冠水に関するSNS投稿などから、3Dでリアルタイムに浸水を予測するサービスなども開発、提供しているという。この浸水予測の精度には、関係省庁のスタッフも感心したと村上氏は自信をのぞかせる。特にSpectee Proは、各種情報と地図の連携に優れており、基本的にすべての情報は地図と連動して表示される。

3Dリアルタイム浸水推定図(令和2年7月豪雨時 _ 熊本県球磨川周辺)

 TwitterなどSNSの情報については、関連するエリアや時間といったフィルタリングをかけて災害地域に関連した情報をピックアップしている。その中で、特に評価されているのは、優先度が高い情報なのか、正確であるかといった判断を踏まえた上で防災に活用できる点だ。

 SNSの情報を活用するにあたり、その情報をAIで解析することに加えて、専門チームを組織して分析、確認を行っている。村上氏は「AIだけでなく専門チームによって情報が正確かどうか、希望する優先順位に合っているか、ある情報とある情報は関連性がある……というように最適化して配信しています」と説明した。

 台風によっては雨よりも風害が強い場合もある。そのときには風害に関連する情報を優先し、倒壊が起きそうな建物を優先的にピックアップするなど、想定される災害に適合した情報を中心に確認できるという。

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欧米と日本の取り組みの違い、ITでは遅れている日本

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森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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