NECは、建設現場などに設置したカメラの映像から、複数の人物の、それぞれ異なる多種多様な作業内容をリアルタイムで高精度に認識する技術を開発したと発表した。
これまで難しいとされていた、建設現場のように多数の人が行き交う混雑した環境においても、多種多様な作業内容を同時並行で安定的に認識できるとしている。
近年建設業界では、人口減少や高齢化による労働力不足に加え、2024年に適用される時間外労働の上限規制により、働き方改革と生産性向上が急務とされている。
しかし、建設現場のように多くの人が行き交い、状況が大きく変化する環境において、各現場の作業者の作業内容や時間のデータ化は困難であり、現場全体の作業状況の把握や人員リソースの最適配置など効率的な現場管理・改善が課題となっているという。
従来の一般的な行動解析技術では、人物や物体の関係性を解析するものの、その解析には人物や物体の視覚的特徴のみが用いられており、認識できる行動や状況が限定的だったとのこと。
そこで本技術では、人物や物体の視覚的特徴に加えて、作業内容を認識するうえで重要な人物の姿勢特徴、使用している道具や重機などの物体の種別情報、人物や物体の位置情報、人物の周辺環境の視覚的特徴などの表現形式の異なる多様な特徴の間の関係性を統合的に解析。
さらに、それぞれの作業内容の認識において、どの特徴が重要になるかを深層学習で適応的に重み付けをする。これにより、建設現場のように多人数が行き交う混雑した環境においても、多種多様な作業内容を高精度に認識することができるとしている。
本技術を活用することで、建設現場などの多数の作業者の作業内容を時系列でデジタル化して管理することが可能となり、業務フローの効率化や人員リソースの最適配置などが期待されるとのこと。
NECは今後、建設に加えて、製造・物流・小売などの様々な現場作業に対して本技術の検証を進め、2023年度の実用化を目指すとしている。
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