国内外の“今”を伝える共同通信社、「報道第一」の現場とデジタル化の折衝ポイントを探る
第7回:共同通信社 情報技術局 ソリューショングループ 村上茜氏

テレビや新聞、ラジオをはじめ、全国のメディアに国内外のニュースを提供する共同通信社。入社5年目の村上茜さんは、その中核であるメディア各社にニュースを配信するシステムを担当している。(※ご本人の希望で顔写真は撮影していません。)
国内外の報道を支える、共同通信社の情シス
酒井真弓(以下、酒井):報道は私たちにとって非常に身近な存在ですが、裏側のシステムやそれを支える情報システム部のお仕事について知る機会はあまりないですよね。
村上茜氏(以下、村上):私が主に担当しているのは、メディア各社に向けたニュース報道配信システムです。また、記事や写真などのコンテンツを統合編集するCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)、通信インフラにも携わっています。
特徴的なのは、五輪やワールドカップといった大規模スポーツイベントの際、情シスも現地に赴いて取材拠点を作ることでしょうか。本社と現地を結ぶ専用線をひいてパソコンやカメラ、電話やプリンタといった機器を設置し、記者の皆さんがオフィスと同じように仕事ができるようにしています。
Tokyo2020大会では各競技会場やメディア向けプライベートオフィスで、2022年冬季の北京五輪のときは東京本社の特設会場で、ネットワーク遅延やシステムトラブルがないかチェックしていました。遅い時間に帰ることもありましたが、自分の仕事が世の中の動きとリンクしていると感じられる部分でもあり、楽しかったです。
酒井:いいですね。村上さんは技術職で新卒採用されたんですよね。記者志望ではなく、技術職志望でメディアを選んだ理由は何ですか?
村上:実は、私は大学時代に演劇を作ったり、照明プランを考えたりといったことをしていたんです。はじめは映画や芸能の会社に興味があったのですが、当時は新卒採用をしておらず……。ちょっとずれたところで、演劇にも関われるかもと思いメディアを目指すことにしました。
大学時代はプログラミング専攻だったので、真剣にITインフラを勉強したのは入社してからです。物心ついた頃にはWi-Fiが普通だったので、ネットワークは「Wi-Fiを設定すればつながる」とか「LANケーブルを挿せばつながる」と思っていましたね(笑)。

酒井:努力されたんですね。
村上:戸惑うこともありますが、大枠では一応、興味の範疇ではあるので、「もうちょっと調べてみよう」と気持ちを切り替えられることが大きいと思います。ネットワークで言えば、つながったときの嬉しさが一番大きいですね。プログラムも同じです。一つのものをガーっと作って動かしてみて、バグがあってうまく動かなくて、ちょっと直して……とやっているうちに、自分の思い描いていたものができたときの感動が、仕事の糧になっています。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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