京都議定書にみる地球温暖化の危機
そもそも、今回話題にしている温室効果ガス排出目標とは、いったいどのようなことなのだろうか。
それを説明するには、「京都議定書」について振り返ってみる必要がある。地球温暖化とは、大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどの温室効果ガスの濃度が上昇することにより、乱暴に言えば地球全体がガラスでできた温室と同じようになってしまい、それにより大気全体が加熱され地球の温度が上昇してしまう現象だ。地球の温度が上がると、気候が変化してしまう。そうなれば、さまざまな影響が人間生活におよされることが予測される。
たとえば、台風やハリケーンなどの原因となる熱帯低気圧が大型化する。それにより、さまざまな大規模自然災害が引き起こされるであろう。また、各地で猛暑、熱波、大雨などが発生する頻度が増加することも懸念され、住むところを失ったり干ばつなどで作物が十分に生産できず食糧の確保が難しくなったりする。
さらには、疫病などの蔓延も懸念されている。また、海面上昇が起こり、多くの島々が水没してしまう可能性も高い。これら気候変動の影響で、数多くの種類の生物が死滅することにもなる。つまり、人間にとってかなり住みづらい地球ができあがってしまうのだ。
こういった気候変動による将来の脅威に対し、1992年に開催された地球サミットにおいて「気候変動に関する国際連合枠組条約」が締約される。そして、1997年に京都で開催された第3回締約国会議で採択されるのが「京都議定書」だ。この京都議定書の中で、気候変動を発生させないための国際的な取り組みとして、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある具体的な数値目標が国毎に設定されたのだ。
京都議定書で削減数値を算出する基準としたのが、1990年の温室効果ガス排出量である。2008年から2012年にかけ日本は6%、米国は7%、EUは8%の値が設定され、先進国全体で5%の削減が目標とされた。