ガートナーは、最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)が注力すべき3つの最優先課題を発表した。
同社のアナリスト兼バイスプレジデントのカーリー イドイン氏は、データをビジネス価値に変換することが組織で求められるようになるにつれて、CDAOの役割と影響力が高まっていると指摘。
だがCDAOは組織やステークホルダーに具体的なビジネス成果を提供することが求められているものの、その価値を示すことに苦慮しているという。そのためリーダーは、データとアナリティクス(D&A)がいかにビジネスプロセスを改善し、より良い意思決定につながり、DXの推進を支援できるかを証明する必要があるとしている。
ガートナーは今回、CDAOの有効性のレベルに影響を及ぼす以下4つの領域を特定し、発表している。
- リーダーシップ:人間関係の構築、影響力の発揮、対話と共感、熱意あるチームの構築など、リーダーシップとして重要とされる特性を発揮して、組織におけるD&Aの役割を確立して維持する
- スキルと文化:組織全体のデータ・リテラシーを高め、D&Aをビジネス・プロセスに組み込むことを当たり前にして、データ・ドリブンな意思決定を習慣化する
- オペレーショナル・エクセレンス:より一貫性があり品質の高いビジネスを実現するために、プラットフォームとツールを活用してビジネス・プロセスの効率と品質を向上させる
- ビジネス成果:D&Aを組織全体に浸透させることにより、ビジネス価値を生み出し、変革を支援する
イドイン氏によれば、優れた成果を収めているCDAOには定量的なビジネス成果とD&Aを結びつけるだけでなく、組織におけるD&Aの優先度を高めるほか、熱意あるチームを育て、関係者と良好な関係構築に努めている傾向があるとのこと。
さらに具体的なビジネス目標に焦点を当てたCDAOは、組織内のステークホルダーだけでなく、市場全体に価値を示し、その全体的な効果を高めているとしている。
同社シニア ディレクターの一志達也氏は、日本企業の取り組み方について次のように指摘する。
「役職の名称としてCDAOを与えている日本企業は稀ですが、D&Aの重要性に対する認識は確実に広がっており、戦略的・組織的にデータの管理と活用に取り組む日本企業も増えてきました。今後は先行する海外企業から学び、日本企業らしい組織特性を活かして、D&Aの価値を高めビジネス成果に結びつけていくことが求められます」
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