金融庁の強制適用を見守る企業たち
黒船がやってきたのは1852年(嘉永5年)、ここから日本では佐幕派と攘夷派に分かれて内乱とも言えるような幕末が始まった。この時に、異人や攘夷派は見つけ次第切り捨ててしまえば良い、と短絡的に考えて行動していた者もいれば、少数ではあるが、幕府や藩という狭い枠で戦っていたら日本が駄目になると大局的に考えて行動していた者もいる。
米国企業改革法(以下US―SOX)対応は、まだ記憶に新しい〝黒船〞であろう。これに続くがごとく、国際会計基準(国際財務報告基準、以下IFRS)の日本への導入も、金融庁が6月に「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を公表したことで、いよいよ後戻りできない段階に差しかかってきた。
しかしながら、まだ詳細な規定が明確化されているわけではなく、各企業のIFRS対応は、情報収集をしながらも、2012年といわれるIFRSの強制適用の判断が、金融庁からなされるのを様子見している企業が大半であると思われる。
一方、すでに米国会計基準を採用している企業や海外の資本市場で資金調達を行う必要のある企業では、自社のIFRS対応への影響度を分析、把握して、積極的に対応アクションをとり始めている企業も見られる。この状況において、IFRSへの対応に苦慮しているであろう多くの日本企業に対し、ITの観点から処方箋を考えてみたい。