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統括編集長インタビュー

「IT大手のリストラは、新陳代謝の始まり。生成AIにも期待」福田康隆氏にIT業界の今後を訊く

【インタビュー後編】統合と分散で伸長するIT業界、出遅れる日本の課題も浮き彫りに

 前回は、ジャパン・クラウド・コンサルティング 代表の福田康隆氏に、現状のビッグテックの不振やSaaSビジネスの動向について話を訊いた。今回はそれらの動向を踏まえ、今後のIT業界について占ってもらった。

統合・分散の新陳代謝でITの産業は伸長してきた

ジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 福田康隆氏。早稲田大学卒業後、日本オラクルに入社。2001年に米オラクル本社に出向。2004年、米セールスフォース・ドットコムに転職。翌年、同社日本法人で専務執行役員兼シニアバイスプレジデントを務めた後、2014年マルケト代表取締役社長として日本法人の設立に関わる。2019年買収により、アドビシステムズ専務執行役員 マルケト事業統括に就任。2020年1月より、ジャパン・クラウドのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティングの代表取締役社長に就任。著書に『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(翔泳社、2019年)。
ジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 福田康隆氏。早稲田大学卒業後、日本オラクルに入社。2001年に米オラクル本社に出向。2004年、米セールスフォース・ドットコムに転職。翌年、同社日本法人で、専務執行役員兼シニアバイスプレジデントを務めた後、2014年マルケト代表取締役社長として日本法人の設立に関わる。2019年買収により、アドビシステムズ専務執行役員 マルケト事業統括に就任。2020年1月より、ジャパン・クラウドのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティングの代表取締役社長に就任。著書に『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(翔泳社、2019年)。

 IT業界にはメインフレームからクライアント/サーバーのように、統合と分散が繰り返されてきた歴史がある。統合と分散には技術アーキテクチャ的な側面もあれば、企業の動きの中でもそれらが見受けられる。

 「たとえばビジネスアプリケーションでは、2000年以前はメインフレームを中心にIBMというプレーヤーがいました。その後、クライアント/サーバーが出てきて、データベースやERPが注目されOracleやSAPというプレーヤーが登場します。2000年を越えたくらいからそれらの会社が大きくなり、一気に買収を進めます。

 結果的に統合化が進み3、4社が市場を独占します。しかしそれらと並行して、ドットコム・バブルのようなことも起こります。ビッグプレーヤーから人材が出て、新たに起業する人が増えるのです。技術的にもインターネットを前提に、1からアプリケーションを作り替えるものが生まれ、2000年代中盤くらいからはSaaS企業が一気に増えました」(福田氏)

 インターネットが登場した当初の1990年代後半は、既存のクライアント/サーバー技術の上に無理矢理インターネット技術をかぶせたようなサービスが多かった。それらは過去を捨てきれず中途半端で、大きく発展するものは少なかった。それが2000年代になり、インターネット技術ありきでまったく新しいサービスが生まれた。マルチテナントなどの新しい概念も登場し、群雄割拠のクラウドの時代に突入する。

 結果として、たとえばマーケティング領域で多くのプレーヤーが出現し、マーケティング・オートメーションツールのカオスマップができた。最近ならセールステックやDevOpsの領域で、同様なカオスマップが描ける。カオス状態がしばらく続くと、ビッグプレーヤーがカオスの中から有望なプレーヤーを買収する統合化が始まる。起業からカオス状態、そして買収というように、IT企業の動向としても統合と分散は繰り返される。

 以前であれば、ビジネスアプリケーションというように統合、分散のシナリオはIT業界全体で1本くらいしか走らなかった。それがクラウドの時代には複雑化し、複数カテゴリーで統合、分散シナリオが並行して走る。マーケティング・オートメーションツールの次にセールステックの統合、分散が順にやって来るわけではない。

 複数のカテゴリーで統合と分散のシナリオが並行して走るのは、世の中でITに求められることが多様化したからだろう。ニッチな領域の要求にも、ITが柔軟に応えられるようになった。結果、ニッチな狭い世界でもビジネスが成り立つようになった。会社の統合、分散とITアーキテクチャの統合、分散が絡み合いながら、ITの世界は常に変化し動いているのだ。

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ビッグテックのリストラは、新陳代謝の始まり

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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