ビッグテックが大規模リストラ、転換期を迎えたのか
デジタル化が進み、DXの必要性が多くの企業で認知されるようになった。新型コロナウイルスのパンデミックへの対応で、生活やビジネスのあらゆるシーンでオンライン化が加速している。これらが追い風となり、好調な業績を記録したITベンダーは多い。
とはいえ昨年後半くらいから、その雲行きが怪しくなってきた。オンライン化が進む中での急激な需要の増加に対応するために、多くのITベンダーが短期間に一気に人員を増やした。その反動が表れ、Facebookのメタやアマゾン、マイクロソフトらが1万人規模の社員削減を明らかにしている。
さらにこれまで急成長を続け、様々な企業を買収し拡大を続けてきたSaaSのトップベンダーSalesforceも、成長率が鈍化し人員削減せざるを得なくなっている。ビッグテック企業を中心としたIT業界の隆盛も、いよいよ大きな転換期を向かえたのだろうか。
福田氏はこれらビッグテックの不振は、一過性のトレンドに過ぎないと指摘する。新型コロナウイルスの市場変化に対応するため、ここ3年ほどで一気に膨張したものが元に戻っているだけだと語る。「ほとんどの会社の株価を見ても、2020年に急激に上がり、それが以前の水準に戻っています。そういう意味でも、現状の動向は一過性のトレンドだと捉えています」と言う。
労働人口の減る日本企業はもちろん、グローバルで共通の企業課題に生産性の向上がある。生産性を上げるには、まずは人を増やす。人を増やすだけでは効率が上がらない。さらには日本では働き手が不足して人員はおいそれと増やせない。結果的にITの活用が、欠かせない。
そう考えれば、多くのIT企業の業績は今後もまだまだ伸びると考えられる。「IT業界の中では、ハードウェアからソフトウェアへという流れがここ20年ほど続いています。ソフトウェアビジネスの成長はこれからも続くでしょう」と福田氏は言う。