新たな市場創造のためTrellixへ
──権田さんのこれまでのご経歴や、従事されてきた業務内容についてお聞かせください
キャリアの始めは外資系の通信機器メーカーのハイタッチ営業をしていました。インターネット創成期にISPのコアルーターなどを通信キャリア向けに販売していました。
そこから、外資系企業の日本法人にてテリトリーマネージャーやカントリーマネージャーにステップアップしていきました。前職はADC(Application Delivery Controller)やWAF(Web Application Firewall)、SSL暗号化などを扱うF5ネットワークスジャパン(以下、F5)で、5年半カントリーマネージャーをしていました。
F5は長年販売していた主軸のADC製品があったのですが、それだけだと成長が鈍化してしまいます。私が入社した頃から変革がすでに始まっており、F5ではそのさらなる推進役を期待された形になります。
同社では、ハードウェアからソフトウェア、サブスクリプションモデルの導入、これまでオンプレミス向けのハードウェアを販売していたセールス担当たちのマインドセットを変えていくなどのトランスフォーメーションを5年半かけて行いました。結果、ADCの比率は60%程度となり、売上高も40%ほどアップ、F5を変革し成長させたと考えています。
──Trellixへの社長就任にはどのような背景があったのでしょうか
F5はADCを作ろうとしてできた会社ではなく、アプリケーションを開発・運用する人に向けたサービスのマーケットを作ろうとしている企業で、私もそれをゴールとして入社しました。しかし5年半のチャレンジのなかで、ビジネスは成長したものの、残念ながら新しい市場でのブランドを確立するまでは至りませんでした。それで、後任にバトンを渡そうと思ったのです。
そうした中でTrellixに来たのは、直属の上司であるヴィッキー(Vicki Batka、APJ 担当 シニア バイス プレジデント)やその上司のアダム(Adam Philpott、最高売上責任者)、そして自分のまわりのメンバーと話すなかで、F5時代に行ったような変革を期待されての就任でした。扱う製品の分野は違いますが、「これまでオンプレミスで成長してきたビジネスを、ワークロードがクラウド化していく状況下で大きな変革を成し遂げる」という点では同じであると考えています。
TrellixはMcAfee EnterpriseとFireEyeのブランドのもと、XDR(Extended Detection and Response)という新しいマーケットを立ち上げ、そのリーダーになろうとしていますので、これが私の大きな目標となっています。このXDRによって、日本企業のセキュリティオペレーション改革ができると私は思っています。
というのも、日本でSOC(Security Operation Center)を持つ企業の割合は6%程度であり、XDRを使うのがこの人たちだけでしたらマーケットは大きくはなりません。しかし日本の場合はMSSP(Managed Security Service Provider)の存在もあります。XDRは、サイバー攻撃が高度化するなかでCSIRT(Computer Security Incident Response Team)が活用するツールでもあり、より多くの企業に適切な判断による運用を提供できると考えています。