日本市場参入から5年、New Relicのトップシェア獲得の理由
オブザーバビリティ・プラットフォームを提供するNew Relicは、2008年に米国サンフランシスコで創業。グローバルでは、15,000社を超える顧客がある。日本への進出は創業から10年後の2018年8月、10年の月日をかけたのは米国本社が「日本市場の特殊性を理解していたから」と言うのは、New Relic株式会社副社長 COOの宮本義敬氏だ。
日本法人は、米国本社100%子会社ではなくSaaS企業の日本進出を支援するJapan Cloudから出資を受けている。そのかいもあってか、日本での4年余りのビジネスは順調だ。テクノ・システム・リサーチの調査では、2021年の国内オブザーバビリティ市場の売り上げシェアでトップの39%を獲得、これは2位以下を大きく引き離す。多くの企業から「デジタルサービスを行うならNew Relicとの評価をもらっており、たくさんの引き合いがあります」と宮本氏。
サービスやアプリケーションの死活を監視する
同社が日本へ進出した当初、多くの企業はサーバーやネットワークの生き死には見ているが、サービスやビジネスどころか、アプリケーションすら監視していなかった。つまりビジネスのオンライン化、デジタル化は進んでいるものの、デジタルサービスが正常に運用され、顧客が満足を得られているかを測るオブザーバビリティには至っていない。「やっているのはインフラ監視だけで、アプリケーションのスループットや、Webブラウザのページロードの速さなどは分かりません。これらは、従来のシステム監視ツールでは見られないのです」と言う。日本では今でもこの状況が、大きくは変わっていない。
従来の監視は、システムなどの状態は見ているが、問題の原因までは見ていない。一方でオブザーバビリティは「今何が起こっていて、その問題をどう改善すべきかのアクションまで見るものです。その際に問題の原因が分かっていなければ、アクションにつなげられません」と宮本氏は指摘する。