ガートナージャパン(以下、Gartner)は、テクノロジー人材に関する展望を発表した。
同社ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀忠明氏は、「ChatGPTに代表されるようなスーパーパワー(想像を絶するテクノロジー)と産業革命的なメガトレンドが到来しつつある今、変化への対応は、すべての企業にとって生き残りを懸けた経営戦略となっています。企業は、産業革命を推進するリーダーや、テクノロジーの観点から推進できるクリエイター的エンジニアを確保するための人材戦略を加速させる必要があります」と述べている。
2026年までに日本企業の60%以上が、IT関連部門で働く人々を「クリエイター的エンジニア」として再定義し、「人を大事にし、人を元気にし、人に活躍いただく」ようになるという。
また、亦賀氏は「企業は2030年に向けて、どのような人材が必要なのかについてプロファイルを定義する必要があります。それと同時に、優秀なエンジニアが真に活躍できる環境を用意することも重要です」と述べており、Gartnerはこうした状況も踏まえ、2026年までに、さまざまな業種で産業革命が進行し、日本企業の60%超で優秀なエンジニアの奪い合いが起こるとしている。
優秀なエンジニアの獲得競争が深刻化する中、Gartnerの顧客からの問い合わせなどでは、日本の伝統的な企業におけるゼネラリスト育成のためのローテーションなどが、クリエイター的エンジニアの求めるプロフェッショナリズムと相反することが離職の原因となっている実態も確認されているという。
「クリエイター的エンジニアの離職や奪い合いは、これからさらに深刻なものとなるでしょう。よって、すべての日本企業は、企業や組織のカルチャーを、ゼネラリストの育成を中心とするものから、プロフェッショナルを尊重するものへと転換できるような施策を打つ必要があります。日本では、エンジニアは『決められたことをきちんとこなす作業者』として扱われ、ともすれば下請け的に見なされているケースが多く見られました。しかし、こうした作業者的エンジニアは、今後ChatGPTのようなAIやハイパーオートメーションに取って代わられる可能性があります。これからは、すべてのエンジニアはAIやクラウドといったテクノロジを駆使できるクリエイター的エンジニアになる必要があります。産業革命的な時代において、クリエイター的エンジニアはNew Worldを牽引し、産業革命のリーダーとして今後ますます重要かつ貴重な存在になります」と亦賀氏はコメントしている。