ソフトウェア製品再編統合の狙い
日本ヒューレット・パッカード(以下日本HP)は2007年2月、運用管理ソフトウェア群「OpenView」を、ITガバナンス・開発管理用のソフトウェア「Mercury」など、買収した製品群とともに再編して「HP Software」ブランドとして統一した。HP Softwareは日本HPソフトウェア製品とサービス(コンサルティング、教育、SaaS、保守)と融合し、ビジネス情報の最適化、ビジネスパフォーマンスの最適化、顧客経験の最適化などを具現化する製品・サービス群だ。そしてHP Softwareをベースに強力に推進している統合ITマネジメント戦略が、ビジネスの視点でITを最適化する「Business TechnologyOptimization(以下、BTO:ビジネス・テクノロジーの最適化)」である。BTOはITILV3に沿った形で製品群とサービスを提供しており、その中で運用管理は、IT戦略立案、アプリケーション開発に続くITライフサイクルの一環として位置づけられている(図1)。
まずIT戦略立案工程では、ポートフォリオ作成と財務管理をサポートする。ビジネスモデルを実現するために企画・実行されている複数のプロジェクトに対して行うのが、予算・スケジュール・リソース・リスク管理の支援だ。ここでのIT コスト最適化のポイントは、最も戦略的なプログラムへの集中と予算の最大化、財務計画とリソース計画の最適化になる。その結果として予算調整作業やプロジェクト管理作業の無駄を削減し、さらに下流工程の仕事のやり方も改善する。
戦略工程において承認されたプロジェクトの情報は、次の「アプリケーション開発」工程と共有される。ここでHP Softwareが主に担うのはアプリケーションの品質管理である。まず品質に関するプロセスを管理・統括し、テストを自動化する。またビジネス要求に対するパフォーマンスを検証・分析し、導入やアップグレードに伴うリスクを軽減する。そして開発されたアプリケーションが本番環境に渡され、「運用管理」工程に入る。