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DX時代の「コンテンツ管理」とは?──Box活用術を交えてエバンジェリストが解説

コンテンツ管理に訪れた“2つの転機”──「コンテンツセントリック」な管理手法でサイロを打破

vol.2 情報のサイロ化はなぜ起きる?/Box活用術その②:Box+Microsoft 365連携/Salesforce連携

 多くの日本企業でハイブリッド/マルチクラウド化が進展している中、ファイルサーバーなどの置き換え需要もあり「Box」の利用率が高まっています。連載「DX時代の『コンテンツ管理』とは?──Box活用術を交えてエバンジェリストが解説」では、声高に叫ばれるDXにおけるコンテンツ管理にフォーカスし、なぜクラウドネイティブな管理手法が必要なのかを紹介。実例として「Box」の活用術を交えながら、第一線で活躍するBoxエバンジェリスト 浅見顕祐氏がわかりやすく解説します。

その後のコンテンツ管理に訪れた2つの転機

 前回のvol.1『コンテンツ管理とは?』で紹介したように、2005年に誕生したECM(エンタープライズコンテンツ管理)は先進的であったものの全社コンテンツ管理基盤として位置づけられるケースは、あまりありませんでした。そして、ファイルサーバーやNAS(Network Attached Storage)といった、旧態依然とした「電子ファイル置き場」がそのまま使い続けられることとなります。

 その後、転機となる2つの大きな潮流がありました。1つ目は「システムモダナイズ」の流れです。業務効率化やBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策、コスト削減などの観点から、老朽化したシステムを刷新してクラウド化する。このとき、SaaSを採用するケースと独自システムを開発してIaaSやPaaSの上で稼働させるケースがありますが、これにあわせてコンテンツ管理の手段も変わっています。前者の場合、各システムが持つ「コンテンツ管理」機能を使うことが一般的となりました。たとえば、CRM(顧客リレーション管理)としてSalesforceを採用し、Salesforceの「ファイルストレージ」を使うというようなケースです。後者では、IaaS/PaaSが提供するクラウドストレージを使うことが典型的となっており、AWS(Amazon Web Service)上でアプリケーションを稼働し、ファイル置き場としてAmazon S3を使うようなケースが想定されます。

 2つ目は「顧客接点デジタル化」の流れです。これまで書類の郵送やFAXで対応していた顧客や取引先との情報授受をWeb上でオンライン化し、「顧客ポータル」などを窓口とすることで、サービス品質の改善や顧客満足度の向上につなげるといった取り組みが増えています。2020年以降のパンデミック対策としても「非対面化」というテーマ名称に変わり、デジタル化が進められていきました。では、肝心のコンテンツ管理がどうなったのかと言うと、ここでも1つ目のシステムモダナイズと同様に、「各システムの機能」または「クラウドストレージ」でコンテンツが管理されるようになりました。

図1:システムモダナイズ・顧客接点デジタル化の流れによるコンテンツ管理手法の変化
図1:システムモダナイズ・顧客接点デジタル化の流れによるコンテンツ管理手法の変化
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非定型業務の領域における「コンテンツ管理」2つの転機

 社内向けの業務システムや社外向けの窓口システムなどは、特定の業務や用途を想定した「定型業務」向けと言えますが、「コンテンツ」の場合は決められた業務や用途以外にも、必要に応じて人間が作成して相手に共有するというケース、「非定型業務」での利用も想定されるという点に着目しなければなりません。その観点からも、転機となる“2つの流れ”がありました。

 1つ目は「働き方改革」の流れです。2018年6月に働き方改革関連法が成立し、2019年4月から順次施行されています。その中で、たとえば在宅勤務者がファイルサーバーにアクセスできないなど、リモートワークとモバイル端末活用のボトルネックとなる“IT環境の課題”が浮き彫りとなりました。そこで脚光を浴びたのが、クラウド上でデジタルワークプレイスを提供する「業務効率化ツール」です。Microsoft 365やGoogle Workspaceなどを導入する組織が増えていき、2020年以降のパンデミックが勢いを加速させました。ところが、これらのツールは基本的に社内利用が想定されていたため、社外との情報共有では「添付メール」が主流となったままでした。そこで、添付メールにおける誤送信リスクを回避するために採用された「PPAP方式」(ファイルを暗号化ZIP形式に変換、添付して送信。パスワードを別送する手順)での運用は、非効率なだけでなく、スマートフォンでファイルが開きにくいなど、リモートワーク時代にそぐわない新たな不便が生じました。

 また、Eメールで送信できない大容量ファイルを共有したいがために、セキュリティの観点から使用を禁止されているUSBメモリを使ったり、無料で使える個人向けツール(アップローダーなど)を使って共有したりと、いわゆる「シャドーIT」が横行してしまうことも問題でした。そこで新たなテーマとして浮かび上がってきたものが、2つ目の「情報セキュリティ強化」です。PPAPやシャドーITなどを撲滅するために、前回ご紹介した「EFSS(Enterprise File Synchronization & Sharing)」が採用されるケースが増えました。当時は、この用途だけを想定してBoxを導入されるお客様も多い印象でした。

図2:働き方改革・情報セキュリティ強化の流れによるコンテンツ管理手法の変化
図2:働き方改革・情報セキュリティ強化の流れによるコンテンツ管理手法の変化
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部分最適の繰り返しが引き起こす「情報のサイロ化」

 こうしてコンテンツ管理は、クラウド環境へとシフトしました。しかし、図2の右側を見てわかる通り、各マスで異なる仕組みを使ってコンテンツが管理されており、情報が「サイロ化」してしまっています。これは各マスの課題やテーマに対して、それぞれで個別対応していく部分最適を繰り返した結果であり、コンテンツ管理を考慮せずに「とりあえず、導入したシステムやツールのファイル保管機能を使えばいい」と判断したことが原因と言えるでしょう。下図3のように「コンテンツが見つからない」ことが常態化していたら、その犯人は“情報のサイロ化”です。

図3:情報のサイロ化「あの資料はどこへいった?」
図3:情報のサイロ化「あの資料はどこへいった?」
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 とはいえ、「我が社は情報が見つかる状態だから大丈夫」と思った方も安心できないのが、この問題の厄介なところです。たとえば「電子帳簿保存法に対応するため」など、新たなサービス導入を検討する機会はこの先何度も訪れるわけですが、その都度“新たなサイロ”を増やしてしまう可能性が潜んでいます。早めに対策を講じなければ、近い将来必ずこの問題に直面すると言っても過言ではないでしょう。

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コンテンツ管理を独立させるアプローチの必要性

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この記事の著者

浅見 顕祐(アサミ アキヒロ)

株式会社Box Japan
プロダクト&パートナーマーケティング部 エバンジェリストコンテンツ管理とその関連分野において、15年以上の経験を持つスペシャリスト。
最初に在籍した日本オラクルでは、ミドルウェア専任SEとしてECM・WebCMSなどを担当。その後、日本IBMへ移籍し、ECM・テキスト...

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