ベリタステクノロジーズ新社長就任、変革の原動力に
外資系IT企業でプロジェクト進行や開発など多彩な業務を経験した後、20年前よりBtoBセールス領域に活躍の場を移し、NokiaやEricssonなどで営業統括の要職を歴任してきた金光氏。ベリタスが手掛けるデータマネジメント領域には直接関わってこなかったものの、各プロダクトやソリューションに密接に関わっていることに「“可能性”と“ご縁”を感じている」と語る。
「優れたソリューションを持っていても経営方針が不安定なために、日本ではうまくいかないケースを多く見てきました。しかし、ベリタスの事業領域は今後絶対になくなることのない、むしろ成長が期待される領域。加えて、30年にわたって日本でしっかりとビジネスを展開しており、変革期にある今の市場もよく理解しています。そうした状況下でオファーをいただき、『経営を変える』という強い覚悟を決めました」
一言で「変革」といっても、既に実績ある組織や事業を外部から来た人物が変えていくことはそう容易いことではない。しかし、明確な答えや方向性が見えない中で「何をどう変えられるか」という手段やスキルよりも「どう変えていきたいか」と真摯に向き合う姿勢こそが日本ベリタスを「変える」原動力になると評価された。
そんな金光氏が、まず変革にあたって意識しているのが、原点回帰として「顧客に寄り添うこと」だ。2022年にデータプラットフォームの新ブランドとして「Veritas Alta(ベリタス アルタ)」を新たに打ち出し、クラウド向けのソリューション展開を強力にアピールした。しかし、「クラウドの領域に突き進んでいく」というメッセージが強すぎたことで、オンプレミス領域で長年関係を築いてきた方々に誤解を生じさせたのではないかという懸念があるという。
「ベリタスが多くの顧客企業に活用されている理由は、30年間という長期に亘って『データ管理』に注力し、さまざまな変革を行ってきた一方で、その変革がお客様に負担や変化を強いることがなかったからと言えるでしょう。クラウド向けソリューションについても、お客様の変革を捉えて、迅速に対応することが目的です。そこでベリタスとしては改めて、『これまで通り、お客様に寄り添っていくこと』『新たにクラウド領域にも寄り添っていくこと』をメッセージとしてお伝えしていきたいと考えています」
市場が大きくクラウドへと舵を切る中で、多くのデータ管理ソリューションはテクノロジートレンドにあわせて注力する傾向にある。その結果、フォーカスする領域が狭くなり、そこから少しでも外れると十分なサポートを受けられなかったり、不具合が生じたりする可能性もあるだろう。しかし、ベリタスはあくまで顧客本位のスタンスを崩さず既存および最先端、両方の環境に応じたオペレーションを提供していく。
「両方やらなくてはならない。しかし、リソースは限られています。そこで両者を両立させるために、ベリタスの“体制”と“パートナーシップ”を改革し、変えていきたいと考えています。具体的には、オンプレミスをメインとする既存のパートナープログラムを充実させることに加え、クラウドを得意とする新しいパートナープログラムについて、グローバルプログラムのチューニングおよび日本独自開発で展開していきます」
そして、体制についても「ロイヤルカスタマーの獲得・増大」の指針に則り、エンタープライズセールス部門の強化に取り組む。たとえば、オンプレミスからクラウドへと環境移行する時、ハイブリッド環境で継続する時など、構築設計やデリバリー、セキュリティ対策などの実装・サポート体制を強化。特に日本ではベンダーからのサポートを重視する傾向があることを鑑み、パートナーを介した間接的なサポートだけでなく、ベリタス自身が直接サービスサポートできる仕組みを新たに構築している最中だという。