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AI inside 渡久地 択と思索する「AIの在り方」

「生成AI」時代にこそ試されるビジネススキル──変化を“チャンス”に変えるための視点

【第2回】生成AIがすべてのSaaSを飲み込む時代、ビジネスパーソンに求められる能力とは

 新型コロナウイルスの影響、テクノロジーの進化、そして激化するグローバル競争……これらの要因から、私たちは「仕事」の“新しい定義”を考える時代に入ったのかもしれません。今までの働き方や業界の常識が大きく変わる中で、私たちが仕事をどのように捉え、それに応じてどう実行していくのか。この変動の中では、ビジネスパーソンに求められるスキルセットも変わってきています。従来の方法や技術だけでなく、新しいテクノロジーやグローバルな視野、柔軟性を持ち合わせることが不可欠となっているのです。これらの変化をどのように“良い機会”へと変えていくかを深く考えることは、新しい時代におけるチャンスを探し、それを最大限に活用することと同義ではないでしょうか。

デジタル時代の弊害

 数ヵ月前のことになります。ある日オフィスで仕事を終えた後、しばしその日の仕事と、次の日の予定について思いを巡らせていました。1日の仕事を振り返りながら、何のためにどれだけのアプリケーションやツールにログインし、使い分けたのかを考えていると、あらためて「面倒なことをしているものだな」という感情が湧いてきました。こんなに多くのツールを使い分ける必要性はあるのだろうかと、疑問に感じたのです。

 SaaSの台頭とともに、我々の日常業務は格段に楽になりました。SaaSの利便性を得るために準備しなければならないことも以前からすると格段に減り、ほとんど“労力ゼロ”と言って良いほどです。Webで検索すれば、ほぼすべての事柄へ対応するSaaSが見つかります。そして、登録して使い始めれば大体のことは、そこそこうまくやれるようにベストプラクティスが示されている。

 こうして多様なツールが世の中に溢れ、我々は便益を得る一方、業務の断片化や煩雑さが増してきました。これは私だけではなく、多くの方がそう感じているのではないでしょうか。

 実際に、私は会社として利用するシステムの数を大幅に削減しています。何が必要で、何が必要でないのか。今後、どうすれば必要でないものを導入せず、シンプルに保ち続けられるのか。これらはとても大事なことです。

 そうした取り組みの中で詳細に見ていくと、必要だと考えていたツールの中にも不必要なものが見つかってきます。たとえば、社内チャットなどのコミュニケーションツールにおいて、「参加しているスレッドの数が多すぎる」と感じることはないでしょうか。参加しなければならないスレッドではないけれど、一度入ったのでそのままにしている。たまにやり取りをするのでそのままにしている。誰かに招待されたから入っている……理由はさまざまでも、“負債”が日々溜まり続けているような状態と同じではないでしょうか。

 私の場合、ある日にスレッドを80%以上減少させる決断をして、実行しました。その選定と実行にかけた時間は、わずか30分程度だったと思います。至極簡単なことですが、コミュニケーションの効率が大幅に向上しました。そして、社員にも同様の取り組みを推奨しています。

 考えてみれば、カスタマーサポートにおいても似たような、非常に象徴的なケースがありました。たとえば、日常的にCRMツールを使って顧客情報を管理し、同時にコミュニケーションツールでチームと連携をとる。それらに加えて、データ分析ツールで市場動向を分析して……といった具合に、多くのアプリケーションの切り替えと活用で消費される時間は、想像以上に膨大です。

 このようなツールの増加にともない、もう1つ大きな問題として「データのサイロ化」も引き起こされます。データがツールごとに孤立してしまうと“データの真価”を発揮できず、現在の状況を正しく導き出すことすら難しくなります。顧客データやサービス利用データ、社内アクションのデータ、マーケティングデータ、営業活動のデータなどが一貫したフローとして機能していないために有効なデータとして活用できず、ビジネス機会を逃がす恐れも多分に生まれてきます。これは業務の効率化を真剣に追求する私たちにとって、大きな課題と言えるでしょう。

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「生成AI」は、すべてのSaaSを飲み込む

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この記事の著者

渡久地 択(トグチ タク)

AI inside 株式会社 代表取締役社長CEO2004年より人工知能の研究開発をはじめる。以来10年以上にわたって継続的な人工知能の研究開発とビジネス化・資金力強化を行い、2015年同社を創業。2019年12月に東証グロース市場に上場。代表取締役社長CEOとして経営・技術戦略を指揮し、事業成長を...

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