[比較3]: 仮想化ホストの構成上限
前回は、導入システム要件やサポートするゲストOSといった観点で、Hyper-VとVMWareを比較しました。今回は、リソースという面から両者を分析します。
システムを仮想化する場合、複数の仮想マシンがCPUやメモリなどの物理リソースを共有します。これによりリソース使用効率を高められるという利点がある一方で、共有に伴うリソースの負荷増加を意識する必要があります。
そのため、そもそもホスト1台あたりでどの程度のハードウェア・リソースを扱うことができるのかは、サーバー統合などを考える上で重要な検討材料になります。表4は、それぞれの製品でサポートされる主な物理リソースの最大値を示しています。
どちらの製品もバージョンアップとともに様々な上限が緩和され、スケールアップが図りやすくなっています。特に注目すべきなのが、論理プロセッサ数と仮想マシン数です。
論理プロセッサ数のサポート数を拡張
まずプロセッサですが、両製品ともにサポートする論理プロセッサ数が「64」へと拡張されました。これを具体例で考えると、8コアのプロセッサを4基搭載したサーバーで、さらにハイパースレッディングを有効にした環境をサポートすることになります。
2009年9月現在ではOpteron 2400/8400シリーズ(AMD社)およびXeon 7400シリーズ(Intel社)でサポートされる6コアが最大であり、現在開発が進められているIntel社のNehalem-EXが8コア・プロセッサ、AMD社のMagny Cours(マニクール)が12コアをサポートする予定です。今後数年でさらにコア数が増加していくことが見込まれますが、64という値は当面必要十分な上限値であるといえるでしょう。
なおWindows Server 2008 R2のOSとしては最大256の論理プロセッサをサポートしていますが、Hyper-V 2.0としてサポートされる上限は64になりますので注意してください。
仮想マシンのサポート台数も増加
また論理プロセッサ数の拡張に伴い、1台のホストでサポートされる仮想マシンの数も大幅に増加しました。Hyper-V 2.0の場合は従来の2倍にあたる384VM、そしてESX 4.0では従来の2.5倍となる320VMをサポートし、サーバー統合における集約率向上を支援します。
ただし、どちらの製品にも共通する注意点として、全仮想マシンに割り当てられる仮想CPUの合計が512までという上限があります。たとえばすべての仮想マシンに2個ずつの仮想CPUを割り当てた場合は256VMで上限の512vCPUに達するため、それ以上の仮想マシンを立ち上げることはできません。
項目によって差はあるものの、Hyper-V 2.0とESX 4.0はどちらも現行提供されている大半のサーバーのリソースを最大限活用できるレベルになっています。Microsoftのサーバー仮想化技術はホスト型仮想化製品であるVirtual Serverのイメージが強いためか、Hyper-V登場後も大規模環境には向かないという意見をしばしば聞きます。しかし実際の構成上限を見ると、Hyper-V 2.0であれば十分に大規模環境でも耐えうる仕様になっていることがご確認いただけるかと思います。