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EnterpriseZine Day 2023 Winter レポート

生成AIをいち早く導入した3社のリーダーが集結!今だから明かす「やっておいて良かったこと」

「汎用AI」から「自社特化型AI」への進化過程で、回答精度に課題

 「EnterpriseZine Day 2023 Winter」のクロージング講演では、「いち早く生成AIを導入した3社が集結! 実際に使ってみてわかったメリットと課題」と題し、既に生成AIを導入し活用を始めているパナソニック コネクト、三菱UFJ銀行、ベネッセホールディングスの3社が登壇。生成AIを導入した目的や実際に利用して明らかになったメリットと課題などをパネルディスカッション形式で紹介した。モデレーターは日本マイクロソフトの大森彩子氏が務めた。

まずは使ってもらえるようにユースケースを提示

 パナソニック コネクトでは、「ChatGPT」をベースとしたAIアシスタントを全社展開している。それを担当しているのが同社 IT・デジタル推進本部 戦略企画部 シニアマネージャーの向野孔己氏だ。向野氏は2020年にたまたま見たブログ記事で、生成AIはかなり可能性のあるテクノロジーだと注目したと振り返る。2021年には「GitHub Copilot」に触れ「ものすごく生産性が上がるものだと実感しました」と言う。そして2022年にはプロジェクトとしてChatGPT導入を検討することとなる。

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パナソニック コネクト IT・デジタル推進本部 戦略企画部 シニアマネージャー 向野孔己氏

 三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部 DX室 上席調査役の島野浩平氏は、2018年にSI企業から転職し、機械学習やDeep Learning、量子コンピューティングやブロックチェーンなどの新技術を扱うチームのマネージャーを務めている。2023年度から生成AIの活用プロジェクトをスタートさせ、ChatGPTを全行に導入するプロジェクトを率いているという。さらに三菱UFJフィナンシャル・グループでも、ChatGPTを横断して活用するプロジェクトチームを立ち上げ、グループ全体での活用を積極的に推進している。

 ベネッセホールディングスの水上宙士氏は、グループ横断でDXを推進する部門 「Digital Innovation Partners」の副本部長だ。同社では、ビジネスをより成長させる手段として生成AIを活用しているほか、「進研ゼミ」など提供している教育サービスの価値の強化や、業務生産性向上でも活用を始めているとした。「日々トライ・アンド・エラーをしながら、実践的な使い方を模索しています」と話す。

 モデレーターの大森氏はまず、3社に生成AI導入の道のりを問うた。

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日本マイクロソフト 大森彩子氏

 三菱UFJ銀行では、2023年5月に一部の先行ユーザーに絞って生成AIの利用を開始(ステップ1)。銀行業務ではセキュリティの担保を極めて重視するため、実用性と安全性を検証した。ステップ1.5では、ユーザーを数千人規模まで拡大し、アイデアソンなどを実施して生成AI活用のための「機運を高める取り組みをしています」と島野氏。現在はステップ2で、生成AIの全行提供を目指した取り組みが進行中だ。

 ベネッセホールディングスは、2023年4月から社内での生成AIの利用を開始し、GPTー3.5ベースの「BenesseChat」をグループ社員1万5000人に提供している。これは社内イントラネットから接続できプロンプトの情報も再学習しないなど、セキュアな環境を構築しているという。6月からのステップ2では、社内業務の効率化などに生成AIを活用し始めた。これらの過程を経る中で「今後作るサービスで生成AIが使えるのではとのアイデアが、かなり出てくるようになりました」と水上氏。出てきたアイデアからインパクトが大きく、すぐに実装できそうなものを、ステップ3でプロジェクト化し本格的に展開している。

 パナソニック コネクトでは、2022年10月からいち早く生成AI活用のプロジェクトをスタートした。2023年2月17日には全社員を対象にGPT-3.5を社内展開し、3月13日にはChatGPTの提供を開始。4月14日には別サービスとして国内のパナソニックグループの約9万人を対象に利用を拡大した。現状は「一部の地域、国を除いたグローバル展開をしていて、ユーザー数は17万人ぐらいになります」と向野氏。多くの企業が非定型業務の生産性向上には課題を感じており、大規模言語モデルはその課題に使えると考え「ChatGPTが出る前から使ってみたいと思っていました」と言う。

 生成AIをあまり理解できていない人でもまずは使えるように、職種などに関係なく有効なユースケースを15個用意。その中から気になるものを選んでクリックし、依頼すれば答えが返るようにしている。こういった工夫で利用は進んでおり「テンプレートで使い方を示すことで、生成AIも使ってもらえています」と向野氏は話す。

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社内の幅広い部門で活用進む 業務時間削減の効果も

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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