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法務省ガイドライン後に進展する「契約書関連業務」のAI活用──弁護士ドットコムの「リーガルブレイン構想」とは

 2023年8月1日に法務省は「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」を解説するガイドラインを公開した。その内容は、これまで弁護士法上グレーゾーンとされてきた範囲を狭め、明確なホワイト領域が拡がったため、今後の国内リーガルテックサービスの充実に弾みを付けるものとして期待されている。そのインパクトと同時に、提供開始に向けて温めているサービスの詳細を弁護士ドットコムに伺った。

独自に整理したリーガルテックの6領域

弁護士ドットコム株式会社 取締役経営企画室長 澤田将興氏
弁護士ドットコム株式会社 取締役経営企画室長 澤田将興氏

──まず、法務省からガイドラインが公開されるまでの貴社の取組について教えていただけますか。

 以前から当社はAIを活用したリーガルテック事業への参入を考えていたのですが、上場企業としての法令遵守の観点から、弁護士法第72条への抵触を懸念し事業展開できずにいました。そこで当社は、2022年9月にグレーゾーン解消制度を使って経済産業省に照会を行い10月に回答を得たのです。当時、他の数社も同様の照会をしていたこともあり、AIを活用したリーガルテックへの論点を整理しようとする機運が高まりました。その後、内閣府の規制改革推進室ならびに法務省の推進もあり、2023年8月1日のガイドライン公開[※1]へと繋がっていきました。

 ガイドラインでは、これまでも弁護士や弁護士法人にサービスを提供すること自体は認められていたのですが、企業内弁護士にリーガルテックサービスを提供し、その人たちが使うことも認められました。

 とはいえ、ガイドラインを読んだだけではどんなサービスを提供していいのかはわからない。そこで、当社が考えたのが6領域21ビジネスで具体例を示すことです。今回のガイドラインの対象になるのは、4番の「契約業務」で、AIを用いた契約レビュー、契約書分析などのサービスでしたが、2番の「コンプラインスチェック業務」のように、事件性の低い場合の景表法、薬機法、特商法、下請法など、法的観点から計画している施策に問題ないかをAIを用いてチェックするようなサービス、与信チェックや反社チェックを行うサービスなど、他の領域のサービスも事業化の実現可能性が高まってきました。

図1:リーガルテックで事業開発を進める主要6領域 出典:弁護士ドットコム
図1:リーガルテックで事業開発を進める主要6領域 出典:弁護士ドットコム [画像クリックで拡大]

──AIという意味では、2023年は生成AIに大きな注目が集まりました。それ以前の弁護士の先生方は、どんなツールを使って仕事をしていたのでしょうか。

 ガイドラインの整理はなかったとはいえ、以前からAIを用いた契約書レビューがよく使われていました。当社が提供するクラウドサインのAI契約管理機能もよく利用されていました。クラウドサインで契約を締結すると、契約書のPDFファイルから、契約締結日、契約開始日、契約終了日、取引金額、契約相手の名称などをOCRで読み取り、台帳に自動入力するもので、契約書管理業務の効率化に役立つものです。

 また、2023年7月に提供を開始した「クラウドサインレビュー」は、クラウドサイン上でAIによる契約書の自動レビュー支援を行うサービスで、契約書ファイルをアップロードし、自社の立場を選択すると、AIが即座に不利な条項や抜けている条項を指摘し、欠落条項や要注意条項、解説などを自動で表示してくれ、改訂を繰り返して生じた条文の段ズレのような小さいミスでも抜かりなく指摘してくれます。このサービスはガイドラインの結果が見えたタイミングで事業スタートさせました。

[※1] 法務省:AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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