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「止まらない」から「レジリエント」なシステムに──金融機関におけるクラウド活用とAWSの取り組み

 AWSは、クラウドでインフラストラクチャを提供するクラウドベンダーのイメージが強い。汎用的で網羅的なクラウドサービスを提供することで、幅広い業種業態のニーズに応えている。そして業種業態を選ばないからこそ、クラウド市場のリーダーの座にも君臨していると言える。とはいえ業種業態の特有なニーズに応え、より深くサービスを利用してもらうためのインダストリーフォーカス戦略にも、ここ最近は力を入れている。アマゾンウェブサービスジャパン合同会社 金融事業開発本部 本部長の飯田哲夫氏に、金融業界のクラウド活用の動向、そしてAWSの金融インダストリー事業の現状について話を訊いた。

金融機関におけるクラウド利用の動向と現状

 AWSが金融をはじめとするインダストリーにフォーカスする戦略を打ち出し、それに取り組み始めたのは2016年頃だった。飯田氏もちょうどその頃に、SI企業の金融領域での経験を生かし、金融事業の開発に取り組むためAWSに転職したという。当時の飯田氏は、外から見てAWSはインフラサービスとしか認識しておらず、金融の業務やビジネスには直接関係しないのではとも捉えていた。しかしAWS側の認識は異なっていたという。

 「入社後に再認識しましたが、弊社は各インダストリーの課題にしっかり取り組まなければ、ビジネスは伸びないと考えていたのです」(飯田氏)

アマゾンウェブサービスジャパン 金融事業開発本部長 飯田哲夫氏
アマゾンウェブサービスジャパン 金融事業開発本部 本部長 飯田哲夫氏

 当時の金融領域におけるクラウド利用の目的は、主に高まる計算パワーへの要求に対応するためだった。用途では金融の中でもあまりシステムの可用性や信頼性を重視しない箇所や、データのセキュリティなどに敏感ではない領域からクラウドの利用は増えていった。

 「オンプレミスでやるとコストがかかってしまうところや拡張・縮小をしたい領域から、クラウドの本格利用が始まっています」と飯田氏。金融機関は規制強化に対応するため高精度なリスク予測が必要であり、これには大きな計算パワーが必要だった。このような取り組みはグローバルに活動する金融機関に特に求められ、国内のメガバンクも追随する動きを見せていた。

 このように金融機関では計算パワーの獲得から使い始めて、柔軟性や拡張性などといったクラウドの利点を認識するようになる。それらクラウドの利点を他でも活用したいとなれば、ユーザー側からは可用性や信頼性を高めて欲しいとの要望が出る。これにベンダーが応えたことで、適用範囲は徐々に拡がる。

 結果として銀行、証券、保険、決済など金融の幅広い業態でもクラウドの利用が進み、ユースケースも計算パワーの獲得だけでなく「個人情報を含めたクリティカルなデータを扱うものや、勘定系や決済システムなど止められないシステム、あるいはトランザクションの極めて多い証券のトレーディングシステムなどへと利用範囲がどんどん拡がっています」と飯田氏は語る。

 現状では、金融機関が求める可用性や信頼性、セキュリティを担保し、さらに処理の遅延も最小に抑えるような仕組みがクラウドで提供できるようになった。

 「既に技術面で、金融機関の求めるシステム要件を対応できないことは大きく減っています」(飯田氏)

 国内でも銀行の勘定系やオンライトレーディングのシステムなど、金融機関のミッションクリティカルなシステムで、クラウドが使われる例が出ている。セキュリティや信頼性への懸念から、クラウドの活用を否定する金融機関は減ってきている。「その上で、クラウドをどこにどう使うかは、それぞれの金融機関の置かれた状況次第です」と飯田氏。

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金融機関におけるクラウド利用の課題

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

西隅 秀人(ニシズミ ヒデト)

元EnterpriseZine編集部(2024年3月末退社)

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