SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

クラウドコンピューティングとセキュリティ

外国企業にデータを預けても安心か?~各国法制度がクラウドに及ぼす影響を整理する

第2回

グローバル規模で展開されるクラウドサービスを利用しようと思えば、必然的に法制度の壁に直面することになる。自国法の及ばない海外拠点にデータを保存する場合にどのようなリスクがあるのか。

クラウドサービスと法制度の切っても切れない関係

 制度上の課題と一言でまとめても、その内容は多岐に渡る。サービスの停止・解約に関する事項や、それに伴うデータの返還に関する規定。また、データの削除が依頼どおり実施されたことを確認するための方法も法的に整備されるべき事項としてしばしば言及される。

 また、いわゆるパブリック・クラウドのような形で、複数事業者が物理的に共通サーバを活用するような場合、捜査当局が証拠を押収するときに必要な手続きなども気になるところだ。これまでの制度上の齟齬については今後検討することが必要となるだろう。

 本稿では、諸外国との制度の違いがクラウドサービスに及ぼす影響を整理する。クラウドサービスの利用を検討するような場合、少なくとも現時点においては諸外国のサービサーの存在を無視することはできないからである。

オバマ大統領のスマートフォンが問題に

 米国のオバマ大統領がスマートフォンを活用していることが大統領選の最中にしばしば取り上げられた。就任時には、機密上の問題から当該スマートフォンの利用が禁止されるのではないかという報道がなされたが、最終的には特注モデルを使うという条件付で、利用が可能になったという。

 時期を少しさかのぼった2007年6月には、フランスにおいて同様のスマートフォン利用の禁止令が出された。外交官や、首相官邸・大統領府など、特に機微な情報を取り扱う行政機関における利用を制限するものであると報道された。

 いずれのケースにおいても、懸念の中心は、スマートフォンが国外サーバを経由して情報のやり取りをするものであることだ。行政機関はおろか、自国の法律や権限が及ばない民間企業に、最高機密がアクセスされうることを忌避したものであったと考えられる。

国内保護のための法制度がときに副作用を生む

 これらの事例は、法制度を執行する立場にある行政機関自体が、自身を守るべく運用ポリシーを設定した事例だ。同時に、各国の行政機関は自国の国民・企業を守るべく、様々な法律・制度を定めている。それらは非常に強力なものであり、時に思わぬ副作用を及ぼしてしまうこともある。

 行政機関におけるスマートフォン利用制限のケースは関与するプレイヤの数も少なく、事象としての構造は単純だ。一方、最近のクラウドサービスの動向を考えた場合、どうなるか。事態はまちがいなくより複雑になる。

 例えば、スマートフォンではサービスの管理主体は一社に集約されたものであるが、クラウドサービスにおいては、レイヤごとにサービス提供者が異なることもままあり、それが事態を複雑にする要因となる。また、仮想化の対象となる計算機資源が世界中に分散しうることも当然にして事態を複雑なものとする。

次のページ
クラウドサービス利用者にとっての法制度の副作用

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
クラウドコンピューティングとセキュリティ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

鈴木 良介(スズキ リョウスケ)

株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタント2004年、株式会社野村総合研究所入社。以来、情報・通信業界に係る市場調査、コンサルティング、政策立案支援に従事。近年では、クラウドおよびビッグデータの効率的かつ安全な活用を検討している。近著に『 ビッグデータビジネスの時代』...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/1934 2009/11/02 07:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング