システムの品質を上げるには、テストをしっかり行っておくことが重要ですが、要件定義などに誤りがあれば、決めたとおりに出来ていたとしても誤りの作りこみはおこります。必ず原本に戻ってテスト・検証を行うことが大事です。
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テストケースの作成が重要

システム開発で粗悪品を世に出さないようにしているのがシステムテストです。出来上がったプログラム、完成したシステムインフラ、こういったシステム開発の成果物がシステム要件として決められた通りに出来上がっているかを徹底的に検証するわけですね。システム品質確保の核となる作業と言ってよいでしょう。
しかし、決められた範囲内であっても、システムテストで全ての誤りを発見するのが至難の業であることは周知の事実です。加えて、システム開発は神技ならぬ人間技ゆえ、その開発工程の全てにおいて誤りとミスを発生させる要素を含んでいます。要件定義に誤りがあれば、システムテストでいくら正しいとされる結果が出ても、出来上がった製品は期待通りの動きはしないでしょう。われわれシステムエンジニアはその誤りをなくすため、大変な労力と時間をかけてシステムテストを行います。大きな業務システムの開発ではシステムテストの期間が数ヶ月に及ぶことも珍しくはありません。
ところで、システムテストを行う場合、テストケースを作ることが大変重要な意味を持ちます。テストケースを間違えますと、いくら精緻にテストデータを作っても有効なテストにはなりません。テストケースは、一般的には業務や事務機能要件定義書、稼動後の運用設計ドキュメント、トラブル時の対応定義書から、また各種非機能要件洗い出しなどを行い設定されます。つまりシステムというものを作る時のインプットとなる定義書から作成され、決めたとおりに出来ているかをテストするわけです。
一方、要件定義などに誤りがあれば、決めたとおりに出来ていたとしても誤りの作りこみはおこります。決めたこと自体に、勘違い、みなし、決めつけなどがあり、そもそも要件が間違っていることも決して少なくありません。したがって、決めたことが正しいかどうかという観点からのテストケース設定も欠かせません。
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菊島 靖弘(キクシマ ヤスヒロ)
独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC) リサーチフェロー。1975年東京海上火災保険に入社。以来30年間、損害保険、生命保険、確定拠出年金といった業務システムの開発に携わった他、東京海上日動システムズ取締役品質管理部長として、トラブル削減や、開発品質管理の向上を実...
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