大量のアラート発報によるノイズをどう解消する?
監視ツールの高度化により、大量のアラートが発生するようになりました。アラートの中には、実際には対応が不要なものも多く含まれており、重要なアラートを見逃すリスクが高まっています。こうした状況は「アラートノイズ」と呼ばれています。
アラートノイズが発生する主な理由は、次の2点です。
- 監視項目の設定ミス
- 閾値の設定ミス
監視項目の設定ミスとは、本来監視する必要のない項目を監視してしまうことを指します。たとえば、開発環境の一時的なリソース枯渇を監視してしまうと、アラートが頻発してしまいます。
また、閾値の設定ミスとは、アラートを発報する基準値が適切でないことを指します。閾値を低く設定しすぎると、一時的な負荷変動でもアラートが発生してしまいます。アラートノイズに対処するため、次の点を考慮しましょう。
監視項目の見直しによる、不要な監視の削除
監視項目を定期的に見直し、不要な監視を削除することで、アラートノイズを減らすことができます。その際、システムの重要度や影響範囲を考慮して、監視の粒度を決定する必要があります。
閾値の適正化によるアラートの最適化
閾値の設定には、過去のデータの分析が有効です。正常時の負荷の範囲を把握した上で、閾値を設定することが重要です。また、閾値の設定は、false positiveとfalse negativeのバランスを考慮して行う必要があります。
アラートの重要度設定による優先順位付け
アラートの重要度を設定することで、対応の優先順位を明確にできます。重要度の高いアラートには迅速に対応し、重要度の低いアラートは定期的に確認するようにします。
オンコール対応
インシデントは予期せぬタイミングで発生するため、日中の通常勤務時間外の対応、つまりオンコール対応が必要となります。しかし、オンコール対応には次のような課題があります。
- エンジニアへの高い負荷
- 対応の属人化
- 引き継ぎの非効率性
オンコール対応は、エンジニアにとって大きな負担となります。深夜や休日の対応は生活リズムの乱れを引き起こし、疲弊につながります。特に、特定のエンジニアに対応が集中すると負荷がさらに高まります。
また、オンコール対応が特定のエンジニアに依存してしまうと、ノウハウの属人化が進みます。その結果、エンジニアの離職時に引き継ぎがスムーズにいかず、対応力の低下を招いてしまいます。さらに、オンコール対応では引き継ぎが重要となりますが、引き継ぎが非効率的だと対応の遅れにつながるだけでなく、特に複雑な障害の場合、引き継ぎに時間がかかると対応が後手に回ってしまいます。
これらの課題への対処には、以下のような解決策が有効です。
シフト制の導入による負荷分散
シフト制を導入し、オンコール対応を複数のエンジニアで分担することで、特定のエンジニアへの負荷集中を防げます。シフトの設計には、スキルセットや勤務状況などを考慮する必要があります。
ナレッジベースの整備によるノウハウの共有
ナレッジベースを整備し、過去の障害事例とその対応方法を蓄積・共有することで、エンジニアの属人的なノウハウを“組織の資産”として活用できるようになります。ナレッジベースは定期的にメンテナンスし、最新の状態に保つ必要があります。
引き継ぎドキュメントの整備による効率化
引き継ぎドキュメントを整備することで、引き継ぎの効率化を図れます。引き継ぎドキュメントには障害の状況や対応方針、進捗状況などを明記します。これにより、引き継ぎ先のエンジニアがスムーズに状況を把握し、対応を継続できるようになります。