ファイルはもちろんオンプレミスのブロックストレージにも注力
「NetAppは、インテリジェントなデータインフラを構築することが今後の成長の鍵になると考えている」と言うのは、米国NetApp エンタープライズ ストレージ 製品事業部 プロダクトマネジメント統括部門 バイスプレジデントのジョン・シャーレイ氏だ。
NetAppのラインナップには、5から10ミリ秒の応答速度のワークロードで利用するハイブリッド型の「NetApp FAS」、2から4ミリ秒の応答速度に対応するオールフラッシュの「NetApp AFF」および「NetApp ASA」の「C-Series」、1ミリ秒以下の応答速度のワークロードに対応する性能重視の「A-Series」がある。
これらストレージは、NetApp独自のONTAPと呼ばれる一つのストレージOSで稼働し、NASとしてはもちろん、SANも含む複数ストレージプロトコルをサポート。フラッシュ、ハードディスク、クラウドにまたがるハイブリッドクラウドでの運用も可能となっている。そしてONTAPはファイル、ブロック、オブジェクトのデータ管理の自動化、効率化、さらにデータ保護、セキュリティ機能も提供する。「NetAppはSANストレージにもフォーカスしています。NASのファイルストレージにおけるリーダーとの地位を維持していますが、ブロックストレージも実績があり、2万社以上の顧客が利用しています」とジョン氏。今回、日本の顧客やパートナー、メディアにそれを伝えるために来日したとも言う。
ここ最近のNetAppは、ONTAPをパブリッククラウドで動かすことでクラウドにも対応できるストレージベンダーとの位置づけに力を注いでいたイメージがある。しかし今後のストレージ市場の成長予測を裏付けるように、NetAppはオンプレミスのストレージにもかなり力を入れているとジョン氏。その一つが、2023年に提供を開始した「ASA C-Series」だ。これはオールフラッシュでありながらハードディスクと同等のコストを実現したもので「急速に販売が伸びています。既に日本でも多くの顧客に採用されいます」と言う。
C-Seriesの2~4ミリ秒の応答速度は、多くの企業で必要とするワークロードの大部分をサポートする。もちろんAーSeriesの1ミリ秒以下のレスポンスを求める高性能なシステムもあるが、一般的な業務システムのデータベース、VMwareの仮想化環境、バックアップやディザスタリカバリなどの用途は、C-Seriesの応答速度で必要十分なのだ。
「日本のデータセンターのシステムは、多くがハイブリッドストレージを利用しています。オールフラッシュのC-Seriesで、それをモダナイズできます」とジョン氏。コストが同等でハイブリッドストレージよりも性能が高いだけでなく、スペース、電力効率も極めて高い。たとえば1.8テラバイトの容量を実現するには、SASのハードディスクベースのストレージでは2.5ラックのスペースが必要だ。これがASA C-Series 250であれば、2Uの筐体だけで収まる。消費電力も低くなり、年間で20台分のガソリン自動車が排出する地球温暖化ガス削減に貢献できるとジョン氏は主張する。
これらオンプレミスのストレージだけでなく、パブリッククラウドでONTAPを利用すればクラウド上のストレージも含めた管理が統合できる。つまり、用途に応じ様々なストレージを複数拠点で運用しても、管理はONTAPに集約できるのだ。運用するエンジニアも、ONTAPに関するスキルさえあれば済む。これによりオンプレミス、ハイブリッド、マルチクラウド環境のストレージ運用がシンプルになるのが、NetAppの大きな特長だとジョン氏は言う。
[1] https://www.fortunebusinessinsights.com/data-storage-market-102991(Fortune Business Insights)