
3D CADやPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)をはじめとする製造業向けのソフトウェアベンダーとして、世界的に広く知られる米PTC。同社の日本法人であるPTCジャパンは、2023年11月に元アドビ代表取締役社長の神谷知信氏を新社長に迎え、新たな体制の下で日本市場におけるさらなる成長を図る。そんな同社のビジョンや日本市場における事業戦略、今後の展望などについて神谷氏に聞いた。
「日本の製造業を元気にしたい」アドビからPTCジャパンに
──元々アドビの社長を務められていた神谷さんが、PTCジャパンの社長に就任されたきっかけは一体何だったのでしょうか。
アドビには約10年間在籍し、マーケティング分野を中心にクラウドビジネスを推進してきました。おかげさまで一定の成果は出せたのですが、今後のキャリアを考えたとき、より日本社会に貢献できる仕事にチャレンジにしたいという気持ちが芽生え、日本経済を支えてきた製造業のために力を尽くしたいという結論に至りました。
──製造業にかかわる企業はPTC以外にも数多く存在しますが、なぜPTCを選んだのでしょうか。
デジタルの世界とフィジカルの世界をデータでつなぎ、「デジタルツイン」や「デジタルスレッド」を実現できる唯一無二のプラットフォームを有しているのがPTCでした。同社が標ぼうしている「モノづくりのすべてのフェーズをデータでつなぐ」というコンセプトは、アドビが掲げていたデジタルマーケティングのコンセプトと似ていましたが、より進んでいるとも感じました。また、ARやAIなどの先端技術を積極的に取り入れているところも、アドビのソリューションとの類似点が多いと思いましたね。
──PTCジャパンに移られて約半年が経ちましたが、同社に対するイメージは変わりましたか。
ほぼ想定していた通りですね。ただ実際にいろいろなお客様とお話しさせていただく中で、エンタープライズ領域におけるPTCの知名度は私が想像していたよりはるかに高いという印象を受けました。その一方、モノ作りの現場を支えている中堅・中小企業の方々には、思っていたより知られていないということもわかりました。

今後はそうしたイメージを払拭するため、さらに広い層に向けて当社のソリューションや、ITを活用したモノ作りの魅力をアピールしていきたいと考えています。PLMやARなど、我々の提供するソリューションは本来、人手不足や継承者不足に悩む中堅・中小のモノ作り企業においてこそメリットを発揮できるはずです。
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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