Red Hatは、Podman Desktopの拡張機能である「Podman AI Lab」を発表した。
Podman AI Labによって、開発者はローカル・ワークステーションのグラフィカルインターフェイスを使用して、生成AIを搭載したアプリケーションをコンテナ内で構築、テスト、実行できるようになるとしている。また、機密データの所有およびコントロールの権限を維持しながら、ローカル開発者エクスペリエンスの利便性、使いやすさ、コスト効率のメリットを提供すると述べている。
同社は、AIとデータサイエンスがアプリケーション開発の主流になりつつある中、Podman AI Labのようなツールによって開発者の生成AI導入が促進され、AI拡張開発機能を活用したインテリジェントなアプリケーションの構築や、ワークフローの強化が実現されるとしている。
Podman AI Labはサンプルアプリケーションを含むレシピカタログを備えており、開発者は次のようなLLMの一般的なユースケースについて、すぐに開始することができるという。
- チャットボット:人間の会話をシミュレーションし、AIによってユーザーの問い合わせを理解し、適切な回答を提供する。このような機能は、セルフサービスのカスタマーサポートやバーチャルのパーソナルアシスタンスを提供するアプリケーションを強化するためによく使用されている
- テキストサマライザー:多くのアプリケーションや業界に対して、効果的かつ効率的な情報管理を実現する多用途の機能を提供する。このレシピを使用することで、コンテンツの作成やキュレーション、リサーチ、ニュースの集約、ソーシャルメディアのモニタリング、言語学習などを支援するアプリケーションを構築できる
- コードジェネレーター:プロジェクトのセットアップやAPI統合などの反復作業を自動化したり、コードテンプレートを作成したりすることで、開発者がより高度な設計と問題解決に集中できるようにする
- オブジェクト検出:デジタル画像やビデオフレーム内のオブジェクトを識別して位置を特定するのに役立つ。オブジェクト検出は、自動走行車、小売在庫管理、精密農業、スポーツ放送など、さまざまなアプリケーションの基本コンポーネントになるもの
- 音声からテキストへの書き起こし:話し言葉を自動的に文字テキストに書き起こすことで、音声コンテンツの文書化、アクセシビリティ、分析が容易に
これらの例は、開発者がソースコードを見直してアプリケーションがどのように構築されているかを確認し、AIモデルにコードを統合するベストプラクティスを学ぶためのエントリーポイントになるという。
開発者にとってコンテナは従来、競合や互換性の問題を心配することなく、デスクトップ上でアプリケーションの構築やテストを行うための、柔軟で効率的かつ一貫性のある環境を提供してきたと同社。現在は、AIモデルにも同じようなシンプルさと使いやすさが求められているという。
Podman AI Labは、ローカルの推論サーバーをプロビジョニングする機能を提供することで、そのようなニーズに対応。これにより、ローカルでモデルを実行し、エンドポイントを取得して、モデルに新しい機能を適用するコードの作成を簡単に行うことができるとしている。
また、Podman AI Labにはユーザーがモデルと関わり、その挙動を観察することを可能にするプレイグラウンド環境が含まれているという。プレイグラウンド環境は、モデルを使ったテスト、実験、プロトタイプやアプリケーションの開発に使用でき、直感的なユーザープロンプトによって、さまざまなモデルの機能と精度を探ることで、アプリケーションのユースケースに最適なモデルと設定を見つけることが可能だと述べている。
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