Sansanは5月21日、インボイス管理サービス「Bill One」の新モデル「Model 4」を発表した。
2019年から同社が提供しているBill One。サービスが開始した当初(Model 1)は、経理担当者が紙の請求書をスキャンしてアップロードし、支払いデータを作成するというものだった。経理業務の効率化・負荷軽減を目指したものだったが、同社の代表取締役社長/CEO/CPOである寺田親弘氏は、「請求書の作成・発行業務の効率化には寄与できたが、経理業務の根本的な改革や、紙の請求書の削減には至らなかった」と当時を振り返る。
次に出たModel 2では、Model 1の支払いデータ作成機能に加え、仕訳機能が追加された。そしてModel 3では、あらゆる請求書をBill Oneが代理で受領し、データ化して一元管理できるようになった。リリース4年でARR(年間固定収入)は68億円を超え、契約者数は2,600社以上という一大プロダクトにまで成長した。インボイスネットワークの広がりにより、総請求金額は約35兆円に達しているという。
今回発表されたModel 4では、これまで同サービスが主軸として提供してきた請求書受領に加え、請求書発行における入金消込業務および経費精算までカバーの領域が拡大している。「経理業務全体を一気通貫で支援し、各領域におけるアナログな業務をデジタル化。これにより、根本的な業務負荷の課題を解消する」と、同社の執行役員/Bill One事業部 事業部長である大西勝也氏は述べる。
Model 4で提供されるサービスは以下の3つ。これらのサービスが企業の月次決算業務をリアルタイム化し、意思決定や経営のスピードを向上させるとしている。
- Bill One受領:紙やPDFの請求書をオンラインで受領し、データ化。請求書はクラウド上で一元管理される。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応し、月次決算業務の効率化に寄与
- Bill One発行:請求書の発行業務と、発行後の入金消込業務を効率化。請求書をオンラインで一括発行できる従来の機能に加え、新たに住信SBIネット銀行との連携により、法人向けにBill One Bankの提供を開始(同取り組みに際し、Sansanは銀行代理業者の許可を取得)。入金消込業務を自動化するほか、仕訳データの自動作成も可能に
- Bill One経費:従業員の「立替払い」そのものをなくす。ユーザー企業の社員に発行されるBill Oneビジネスカードを通じて、立替経費精算を削減する。加えて、領収書や経費をリアルタイムに把握し、経費を支払う際に発生する明細突合や証憑提出の督促を自動化。経理作業の月末月初への集中を解消したり、経費の不正リスクを軽減したりするという。提供は2024年6月頃を予定
「Sansanは『ビジネスインフラ』になる」。寺田氏は最後に同ビジョンを宣言し、会見を締めくくった。
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