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みずほフィナンシャルCDOや松尾豊氏らが議論「コンタクトセンターへの生成AI実装がなぜビジネスの常識を変えるのか」

PKSHA AI Summit for Contact Center 2024 レポート

 PKSHA Communication(以下、PKSHA)は2024年6月4日、“生成AI時代のカスタマーサポート”をテーマに「PKSHA AI Summit for Contact Center 2024」を開催した。本稿では、その中で行われたパネルディスカッション「AIエージェントが導くコンタクトセンターの未来」の内容をレポートする。みずほフィナンシャルグループでCDOを務める宇井昭如氏や、AIの世界では誰もが知る東京大学の松尾豊氏がゲストとして登壇した。議論には、主催であるPKSHAの親会社PKSHA Technologyの代表取締役 上野山勝也氏も参加。モデレーターは、リックテレコムで『コールセンタージャパン』編集長を務める矢島竜児氏。

カスタマーサポート領域で活用進む生成AI

矢島竜児氏:現在、多くの企業がカスタマーサポート領域で生成AIの導入を進めています。「AIと人間のコミュニケーション」におけるポテンシャルについて、松尾先生はどうお考えでしょう。

松尾豊氏:カスタマーサポートの領域で生成AIの活用が進んでいるのは、当然のことだと思います。というのも、生成AIには間違いなく効果的な領域が2つあると私は考えておりまして、それは執筆などの“ドラフト作成”、それから“問い合わせ対応”です。

東京大学 大学院 工学系研究科 教授 松尾豊氏
東京大学 大学院 工学系研究科 教授
松尾 豊氏

上野山勝也氏:生成AIが画期的な点は、文章やテキストを四則演算できることです。たとえば、有価証券報告書の即時要約や、顧客対話の効率的なCRM入力が可能になりました。これまでの技術では不可能だったことが、ここ2年であっという間に実現しています。

宇井昭如氏:生成AIは、ビジネスにおいて「顧客満足度向上」と「社内業務効率化」の両面で活用できます。特に金融や医療のような、人間の記憶の限界を超えた複雑な情報を扱う業界で効果が高いと考えています。

 たとえば金融業界では、多様な投資信託商品の特性を瞬時に回答できるため、顧客対応の質が向上します。また、あまり例がないような問い合わせにも即座に対応できるため、顧客満足度が大幅に上がることでしょう。社内業務では問い合わせレポートの自動作成など、効率化にも貢献します。このように、攻めと守りの両面で現在の生成AIは非常に有効だと考えています。

 みずほフィナンシャルグループも、PKSHAと共同開発中の新しいコールセンターシステムを2024年8月に導入予定です。現在の生成AI技術でも高度な対応が可能で、音声テキスト変換の品質は高く、レアな質問にも膨大なデータから瞬時に回答を生成できるシステムが、近い将来に一般化すると予想しています。

株式会社みずほフィナンシャルグループ 執行役員 リテール・事業法人カンパニー副カンパニー長兼グループ副CDO/株式会社みずほ銀行 執行役員 リテール・事業法人部門副部門長 宇井 昭如氏
株式会社みずほフィナンシャルグループ 執行役員 リテール・事業法人カンパニー副カンパニー長兼グループ副CDO/株式会社みずほ銀行 執行役員 リテール・事業法人部門副部門長
宇井 昭如氏

松尾:もちろん、生成AIや機械学習の特性上、100%の精度で何かを生成するのは原理的に不可能です。直接顧客と対話するAIには高い精度が求められますが、オペレーターへのサジェストなら80%くらいの精度で十分かもしれません。重要なのは、品質にこだわる部分と割り切る部分のバランスを取ることで、これは技術の問題というよりも、むしろオペレーション構築の課題です。

宇井:現場の判断は非常に重要です。オペレーターの経験レベルによって、AIに必要な精度も変わります。新人には95%くらいの高い精度が必要かもしれませんが、ベテランなら80%程度でも十分対応できるでしょう。ただし、これらの要素を実際のオペレーションに組み込むのは複雑で、大変な作業になると思います。

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コンタクトセンターへの生成AI導入が企業の意思決定プロセスを変える

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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