UiPathは6月19日、製品アップデートに関する記者説明会を開催した。
同社カントリーマネージャーの南哲夫氏は、「我々はAI-Powered Business Automation Platformを推進している」と強調する。同社はRPAツールの印象が強いが、AIを搭載した自動化に強みがあるという。同社が提供するBusiness Automation Platformでは「自動化」を中心に据え、さらなる最適化や自動化の「発見」や、「運用」の提案をする機能を持ち合わせる。南氏は今後の展望として「今までは規定の業務をシステム化していくものだったが、AI-Poweredという言葉で象徴されるように新たな要素を取り込んでいけると考えている。日本では労働生産性の問題もあるので、お客様と一緒に取り組んでいきたい」と話す。
次にUiPath プロダクトマーケティング部 部長の夏目健氏が製品アップデートを説明した。夏目氏は「生成AIをはじめとした数々のAI、これをユーザーの方が実際に業務で使っていけるようにするための仕組みを我々のプラットフォームが提供している。各社で生成AIの活用や検討、実装が進んでいると思うが、まだいろんな課題や考えるべきことがあり、導入自体は初期段階。そうした導入を加速するための手伝いができる」と話す。
具体的な発表は以下の通り。
Autopilot for Developers とAutopilot for Testers
UiPath Autopilotは、自動化の開発者やユーザーの生産性を高める、プラットフォーム全体にわたる生成AIを活用した機能群のこと。「Autopilot for Developers」および「Autopilot for Testers」は、日本語にも対応し、日本でまもなく一般提供される予定だとした。Autopilot for Developersは、プロの開発者および市民開発者が自然言語を使用して自動化、コード、式を作成できるよう支援するもの。Autopilot for Testersは、手作業によるテストの負担を軽減し、企業のテストチームがより多くのアプリケーションを迅速にテストできるようにすることで、テストのライフサイクルを計画から分析に至るまで改善するという。
生成AIと大規模言語モデル(LLM)
新しいUiPathのLLMである「DocPATH」および「CommPATH」は、企業固有のタスク、ドキュメント処理、コミュニケーションに応じて調整された言語モデル。DocPATHおよびCommPATHはいずれも10月末までに日本語版のパブリックプレビューを開始する予定という。
「UiPath Document Understanding」のフレームワークの一部でもある「UiPath Extended Launguage OCR」は、日本語の読み取り精度が改善されたOCRエンジンとして新たに公開され、近日中に一般提供を開始する。現在、UiPathのOCRは、タイ語、ベトナム語、インドの主要言語、キリル文字やギリシャ語を使用する言語など、200以上の言語の文書をデジタル化できるようになったという。これにより、手書きや多言語で書かれているドキュメントなどを今まで以上に扱うことが可能になる。
Context Grounding
Context Groundingは、検索拡張生成(RAG)を通して、プロンプトにビジネスの背景の基礎的情報を加えることで、生成AIモデルの精度を向上。ナレッジベース、社内ポリシーや手順書などの企業固有のデータセットから情報を抽出するという。現在プライベートプレビューが利用可能だ。
GenAI Activities
GenAI Activitiesは、メールの文章補完、分類、画像検出、翻訳、個人情報(PII)のフィルタリング機能など、増加する生成AIユースケース集を提供。同機能を使うことで、企業はカスタマーエクスペリエンスの調整、サプライチェーンの最適化、需要の予測、十分な情報に基づく意思決定に活用できる。
【関連記事】
・UiPath、2024年の自動化とAIのトレンドを7つ発表 AI+自動化のユースケース需要高まるか
・ウイングアーク1st、UiPathと連携 インボイス制度に関する作業時間を約4分の1に効率化へ
・田辺三菱製薬、「UiPath」で約7万時間分の業務を自動化 「自走型」体制で推進