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「AI拡張型開発」とは何か? 生成AIがもたらすソフトウェア開発の破壊的変化

Gartner バイス プレジデント, アナリスト エイドリアン・リオ氏インタビュー

 ソフトウェアエンジニアリングへの生成AI活用が始まっている。その影響はコード生成の自動化で終わるものではない。「AI拡張型開発」をテーマに、開発者やテスターを支援するツールの現状やこれから起こりうる変化について、ガートナーのアナリストに聞いた。

Gartner バイス プレジデント, アナリスト エイドリアン・リオ氏
Gartner バイス プレジデント, アナリスト エイドリアン・リオ氏

3つの領域に分類できるAI拡張型開発

──「AI拡張型開発」について「これまでソフトウェアエンジニアが行っていたアプリケーションの開発、テスト、デリバリーを、生成AIや機械学習などの人工知能 (AI) テクノロジーが支援することを指す」と定義しています。この定義から確認させてください。

 まず、この定義で示しているのは、「支援」という言葉にあるように、AIが人間の開発者を置き換えるものではないことです。AIはあくまでも道具であり、人間の作業を拡張するもので、置き換えることはできない。人間がより良い仕事をするためのものです。また、AI拡張型開発は「AIによるコード生成」「AI拡張型テスト」「設計からコーディング」の3つに分類できます。この中では、AIによるコード生成の採用が最も進んでいます。大企業を対象に実施した2024年の調査「2024 Gartner Technology Adoption Roadmap for Large Enterprises Survey」では、ツールを展開済みとした回答が17%、展開中が23%と、AIによるコード生成ツールの採用が進んでいる状況がわかりました。

──生成AIによるコード生成は、開発者からの支持が高そうです。

 ある企業で、経験豊富なエンジニアにコード生成のできるAIツールを評価してもらったところ、コードにバグがあった。あるいはセキュリティホールができたなどのフィードバックを得たそうです。報告を受けたマネージャーは、「使わないほうがいいのか?」と尋ねますが、エンジニアは「ぜひ使いたい」と乗り気です。この話が示唆するのは、生成AIのツールは完璧なコードを生成してくれるわけではないが、役に立つものであることです。ただし、このようなツールを経験の少ないエンジニアに渡すべきではありません。批判的に出力結果を評価できるエンジニアであれば、十分に使いこなすことができますが、知識や経験が少ないエンジニアは、生成された結果にバグがあるのに気づかず、そのままのコードを採用してしまうリスクがあるためです。

──では、どんなユースケースがコード生成で有効でしょうか。

 大きく、「ボイラープレートコード(定型コード)を作る場合」、「コードのリファクタリング(読みやすく、修正しやすいコードに改善)を行う場合」、「レガシーモダナイゼーションを行う場合」の3つがあります。現在のツールは「機械学習を利用したコーディングアシスタント」のようなもので、IDE(統合開発環境)やコードエディターにプラグインされたものが中心です。プロンプトに指示やコードの数行を入力すると、10行〜数10行のコードを書き始めます。裏で動いているのはコーディングパターンを学習させたLLMです。開発者がツールを使うと、モデルの振る舞いを調整し、望ましい出力結果を提供する仕組みになっています。

充実してきた開発者支援の生成AIツール

──ツールベンダーはどんな領域をカバーしていますか。

 多くのベンダーが参入していて、ソフトウェア開発のライフサイクルで領域を整理すると、「コード生成」「コード解析」「検索」「文書化」「DevOpsの自動化」が挙げられます。現時点でDevOpsの観点から評価すると、OpsよりもDev寄りの生成AIプラクティスが多い傾向です。

図1:ソフトウェアエンジニアリング分野における生成AIツール 出典:Gartner(2024年6月)
図1:ソフトウェアエンジニアリング分野における生成AIツール 出典:Gartner(2024年6月) [画像クリックで拡大]

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DevOpsをサポートする生成AIのプラクティス

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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