急速に進んだ、ベンダー個別の「Copilot」実装
──「ガートナー デジタル・ワークプレース サミット」の講演において、「インスタントアップスキリング(リアルタイムでAIアシスタントのサポートを得ること)」「コンテンツ作成」「知識取得」「知識発見」という4つのユースケースを紹介されていました。講演タイトルには「ChatGPTの4つのユースケース」とありましたが、GPTだけではなく、他の基盤モデルを用いるAIアシスタントにも当てはまるものと考えていいでしょうか。
GPT以外の基盤モデルを使う場合にも適用できる、汎用的なユースケースです。それぞれのモデルに強み、弱みはあるものの基本は同じです。たとえば、GPTは推論が得意で言語スキルは高いのですが、コントロールが難しい。Geminiも推論スキルは高いのですが、求めたことに対して、そのままの結果を返す傾向があるように思います。
フランス発のMistral AIは、エキスパートモデルと呼ばれる専門性が高いモデルを組み合わせ、小さなモデルを使ったときのように、詳細な結果を得られることが特徴です。もう1つ例を挙げるならば、Llamaです。単一のGPUでも動き、小さいプラットフォームから大きいものへとスケールアップできます。
──ユーザーは、そのような基盤モデルの強みと弱みを理解して使っているのでしょうか。
そのユーザーがエンドユーザーか、開発者かで答えは変わってきます。開発者はモデルの特徴を理解していることが業務遂行の上で不可欠ですが、エンドユーザーにその必要性はないでしょう。利用において裏の仕組みを気にすることは、まずありません。気にせずに使えること自体は、本来のあるべき姿なのですから。
とはいえ、例外はあります。モデルの中には、プライバシー保護のプラクティスが確立していないものがあるため、要件の厳しいユースケースにおいては、(弱みを理解した上で)そのモデルを避けるべき場合もあるからです。
──では、4つのユースケースとして、各トピックを選んだ理由を教えてください。
最も一般的だからです。Microsoft Copilotであれば、設定を有効化するだけで導入できる。だからこそ、多くの組織が使おうとしています。でも、結果はどうでしょうか。「インテリジェントアシスタント」というCopilotのアイデアには、大きな潜在的可能性があります。しかし、企業がカスタムで実装したものはさておき、MicrosoftやSalesforceのようなベンダー特化型のAIは「できる」と言っていたことが、まだ十分にできていない。できるか、できないかで言えば、できます。しかし、市場投入を急いでしまった分、成熟までに時間がかかりそうです。