LINEヤフーが合併統合の中でOktaを採用した理由
LINEヤフーはLINEとヤフーを含むグループ再編によって誕生した。検索、ポータル、Eコマース、メッセンジャー、広告と多様な領域に事業を展開し、連結売上高1兆8146億円、従業員数2万8000人、連結会社数115社を擁する巨大IT企業となった。
「LINEとヤフー、Zホールディングス、Z Entertainment、Zデータの5社合併というのは、社内でも重要な機密情報でしたので、我々現場の担当者は一切、知ることはありませんでした。2023年2月に合併が発表され、そこから約8ヶ月間の集中的なプロジェクトにより、10月に合併を達成しました 」(齊藤氏)
齊藤氏は、LINEヤフーがOktaを採用した理由について明かした。「キーワードは大規模合併の裏で進行していた認証基盤統合プロジェクトです。合併の前年、旧Zホールディングスの時代に実はOkta Workforce Identity Cloudの採用を検討していたのです」と齊藤氏は説明する。当初の構想では、グループ全社で利用する統合認証基盤を構築し、ポータルを提供することが目標だった。
具体的には、各社の従業員情報をマージしてCSV形式でOktaに取り込み、Zホールディングスのハブテナントと各社のスポークテナントで認証を行う予定だった。さらに、生体認証によるセキュリティ強化も計画されていた。
「当時の旧ヤフーのスポークテナントでは、FastPassを利用した生体認証の導入に向けて、検証と、FastPassを前提としたオンボーディングプロセスの設計を実施していました」と齊藤氏は当時の取り組みを振り返る。
しかし、2023年2月の合併発表を受け、状況は一変する。「この合併は社内でも重要な機密情報でしたので、我々現場の担当者は一切知ることはありませんでした」と齊藤氏は当時を振り返る。合併発表から統合完了までの8ヵ月間、社内のあらゆる部門で統合プロジェクトが本格化していったという。