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大阪市は“分断されたシステム”をクラウドプラットフォームに統合へ──2040年に向けて業務改革を推進

Excelでやり取りしていた「予算編成業務」をシステム化 主管部門とアジャイルで開発

 大阪市は、業務ごとに個別最適化され、統合が進んでいなかったシステムを改革する「バックオフィスDX」に取り組んでいる。2025年に大阪・関西万博の開催を控え、大規模自治体としてどのように改革に取り組んでいるのか。今回は「ServiceNow World Forum Tokyo 2024」における大阪市の講演を紹介する。

個別最適の業務効率化に限界……バックオフィス変革に着手

 大阪市では、感染症拡大などの社会環境変化、2040年の労働力絶対量不足などの背景を受け、「大阪市ICT戦略」によりデジタル技術活用に取り組んできた。しかし、「サービスや業務変革までには至っていませんでした」と話すのは大阪市デジタル統括室長の鶴見一裕氏。鶴見氏は大阪市の情報システム部門に22年間在籍し、現在は同市CDO補佐監、CIO、CISOも兼務している。

 「大阪市においてこれからの時代の変化に対応した取り組みを進めるために、サービスや業務の変革を目標としたDX戦略が必要です。そこで大阪市のDX戦略策定にあたり、令和4(2022)年4月、基本方針や方向性を示した大阪市DX戦略の基本的な考え方を策定・公表し、関係部門含む全庁を挙げたDXの必要性について働きかけを行うなど、組織全体のコンセンサス作りを進めました」

 機運醸成と庁内のコンセンサスができたのを見て、2023年3月に策定したのが、「Re-Designおおさか ~大阪市DX戦略~」だ。

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 「大阪市DX戦略の中で今回のテーマのポイントとなるのが、『しごとのRe-Design』です。大阪市職員の2040年の仕事のやり方を考える取り組みとなります。これを実現するために実施しているのが、『バックオフィスDXプロジェクト』。行政DXの中でも、全職員が関係する、本市のDXの根幹となるプロジェクトです」

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 大阪市は、大規模自治体で、管理部門とサービス部門合わせ約2万8000人が在籍する。その業務は多岐にわたり、膨大なものとなっているが、各業務システムは、その膨大な処理を支えるため、業務単位でのシステム化、さらに細かなカスタマイズを行って個別最適化されてきた。「個別最適化を概ねやり尽くした状況で、現状のままでの効率化は限界にきていると感じています」と鶴見氏は指摘する。

 「契約書や請求書は、まだ電子化できておりません。しかも、それぞれ異なるシステムが動き、分断され、改善しにくい状況になっています」

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 また、自治体ならではの課題となるのが公文書データの管理だ。

 「公文書とは、公的機関が職務推移をする過程で作成、管理する文書です。企業の皆様が保有する情報とは異なり、透明性確保が求められるため、一部例外を除き、公開が前提となります。公開するために、どこに何があるのか適切に管理する必要が本来あるのですが、現状は様々な場所に公文書データが分散しているため、全体管理が難しく、公文書管理業務に多大な労力を要しています」と鶴見氏。これまで、業務の混乱、情報分散の解決策は、現場の職員の力に依存していたという。

 「そのためマネージャー層が業務を俯瞰的に見ることは困難で、情報共有や迅速な意思決定が阻まれ、業務のスムーズな進行は妨げられ、ケアレスミスが発生し、内部統制の確保が難しくなっていました。役所の業務は、市民サービス提供に始まり、福祉、教育、都市計画、財政管理など様々な業務があり、それぞれに間接業務が存在します。その間接業務の中に仕事のための仕事を作り込んでしまい、より業務を複雑なものにしています」

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クラウドプラットフォーム移行で年間110万時間を削減へ

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この記事の著者

三浦 優子(ミウラ ユウコ)

日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務。1990年、コンピュータ・ニュース社(現・BCN)に記者として勤務。2003年、同社を退社し、フリーランスライターに。IT系Web媒体等で取材、執筆活動を行なっている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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