2024年11月12日、Advanced Micro Devices(以下、AMD)はオンライン記者会見を実施。シニアプロダクトマーケティングマネージャーのMike Rather(マイク・レイザー)氏が登壇し、同社が新たに提供するアダプティブ SoC プラットフォーム「Versal Premium Series Gen 2」(以下、Gen2)について説明した。
まず、レイザー氏は、Gen2の主な特徴として「ホスト接続の高速化」「メモリ帯域幅と利用効率の向上」「データセキュリティの強化」の3つを提示した。
1つ目に関しては、「PCIe Gen6」に準拠することで実現できるという。また、「CXL 3.1」も使用しているとのことだ。PCIe Gen6は、「PCIe Gen4」「PCIe Gen5」対応の競合FPGAに比べ、2~4倍のラインレートを提供。CXL 3.1も、PCIe Gen6で動作することにより、同等のレイテンシで「CXL 2.13」を搭載する競合デバイスの2倍の帯域幅に拡大するとしている。
2つ目に関しては、「LPDDR5X」(8533 Mb/s)と「DDR5」(6400Mb/s)を用いるとしている。これにより、「LPDDR5」を搭載する競合デバイスと比べ、最大2.7倍のホスト接続速度を実現するとのことだ。加えて、CXメモリ拡張モジュールを使用することで、LPDDR5Xメモリ単体と比較して、最大2.7倍の総帯域幅が実現できるという。
3つ目に関しては、インテグリティとデータ暗号化に、PCIeのリンクを使うと説明。ハードIPとして「Integrated PCIe Integrity and Data Encryption」(IDE)に対応するFPGAデバイスは、業界初とのことだ。また、ECCと暗号化については、DDRメモリを使うとしている。これにより、ユーザーデータを従来の2倍の速度で暗号化するという。
また、Gen2は、データ集約型の、広帯域のアプリケーションに対応しているとマイク氏。具体的な用途として、以下の4領域での事例を挙げた。
- 航空・宇宙データ領域:SF EW、Radarなどが該当
- 通信分野:6G RAN Acceleration、AIなどが該当
- データセンター:Custom AI Networking、エンタープライズSSDなどが該当
- 試験・測定の市場:「PCIe Gen7」のテスター、カメラセンサーなどが該当
Gen2は、昨年リリースされた「Versal Premium」の能力を土台としながら、CXL 3.1やPCIe Gen6などを搭載。「このアプローチを取ることで、デザインを検証しながらリスクを下げることができている」とレイザー氏は説明した。また、同氏はもうひとつ新たなソリューションとして、「LDPC Decoder」を挙げる。これは、高スループットでエラーを訂正するもの。無線にも対応しているとのことだ。
次に、レイザー氏はGen2のデバイスにおけるツールについて紹介。3つの観点から詳細を説明した。
- コンパイルの時間短縮:新しいP&Rのアルゴリズムを用いるのと同時に、マルチスレッドの機能を有しており、インクリメンタルフローについても評価されている
- デザイン:RTLの支援やトランシーバーのサポートなどを行っている
- QoRと使いやすさ:ツールガイドによってタイミングを取りまとめており、DFXのフローも改善。CPUのブートの時間とPCIeに関しても、セグメント化された構成になっている
なお、これらの機能はすべてのVersalシリーズにおいて利用可能とのことだ。
Gen2は、アーリーアクセスの顧客に対し、初期のドキュメンテーションを2024年11月に提供予定だという。
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