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2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

特集:年末特別インタビュー

【特集】SAP ジャパン/キンドリルジャパン/グーグル・クラウド・ジャパンが2024年を振り返る

2024年末特別インタビュー:ITベンダー/コンサルティング編 Vol.4

 衝撃的な出来事が数多く見受けられた2024年のIT領域。AIの急速な進化やそれにともなうサイバー攻撃の巧妙化など、さまざまな可能性とリスクが表出しました。また、経産省が2018年に指摘した「2025年の崖」が差し迫り、レガシーシステムの刷新に向けDXを推進している読者も多いことと思います。そんな企業の変革を支える、ITベンダーとコンサルティングファームは、この1年間をどう振り返るのでしょうか。2025年の展望とともに伺いました。本稿は、その第4弾となります。

以下、3社の代表にコメントをいただきました。
SAP ジャパン/キンドリルジャパン/グーグル・クラウド・ジャパン(五十音順)

クラウドシフトが拡大、2025年は実践的なAI活用が本格化
(SAP ジャパン)

2024年を振り返って

 2024年、日本市場におけるクラウドシフトが大きく進み、ERP導入においてクラウドがスタンダードとして定着しました。SAP ジャパンでは、SAP S/4HANA Cloudを中核としたRISE with SAPおよびGROW with SAPが引き続き好調に推移し、多くのお客様の変革を力強く支援してまいりました。

 また、AI技術の進化に伴い、生成AIを全てのクラウド製品に組み込む取り組みを進め、ビジネスの効率化や意思決定の迅速化を実現する新たな価値を提供しました。特に、業務を標準プロセスに適合させる「Fit to Standard」の手法や、システムのコア機能をカスタマイズせずに活用する「クリーンコア」化を推進する戦略は、多くの企業から高い評価を得ています。

 お客様の中では、AIを活用したPoC(概念実証)の取り組みが多数進行し、業務効率化と新たな価値創出の可能性が広がっています。日本市場ではAIとクラウドの融合が、これまでにない深化と広がりを見せ、企業変革の重要な起点となっています。

 この1年を通じて、SAP ジャパンのAIおよびクラウドソリューションが、多くのお客様の経営改革を支えるパートナーとして選ばれたことをとても誇りに思っています。

SAP ジャパン
代表取締役社⻑
鈴木 洋史氏

1990年4月に日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。2000年8月にi2テクノロジーズ・ジャパン株式会社へ入社、2006年7月にJDAソフトウェア・ジャパン株式会社へ入社し、営業本部長を経て2010年2月より同社代表取締役社長に就任。2012年5月からはJDA Software Inc.のアジアパシフィック地域副社長を務め、日本を含むアジアパシフィック地域を統括。2013年4月に日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社、理事・スマーター・コマース事業担当。2015年1月にSAPジャパン株式会社へバイスプレジデント・コンシューマー産業統括本部長として入社、2018年1月より常務執行役員インダストリー事業担当。2020年4月1日から現職。

2025年の展望

 2025年は、「AIファースト」と「スイートファースト」を掲げ、日本市場におけるデータドリブン経営の推進を一層強化します。AIの分野では、ERP全体のデータを自動的に収集・処理するAIエージェントや、パートナーやお客様が独自にスキルを構築できるAIデジタルアシスタント「Joule」の新機能を提供し、業務効率化とプロセス最適化を加速させます。

 また、AI活用の成功に不可欠なクリーンデータの整備を支援するため、SAP S/4HANA Cloudを中心に、主要業務アプリケーションを含めたクリーンコアの実現を推進します。パートナーエコシステムとも連携し、企業横断的なデータ管理基盤の構築を進めることで、お客様の変革を支援します。

 2025年以降は、AI活用の実践が本格化し、具体的なビジネス成果が期待されます。SAP ジャパンは、AIとクラウドソリューションの価値を最大限に引き出し、日本企業の競争力向上を支えてまいります。

日本特有の課題に対応、ITモダナイゼーションの支援に注力
(キンドリルジャパン)

2024年を振り返って

 2024年は、高品質かつ安心、安全を第一に、ミッションクリティカルなシステムを長年支えてきた国内外のスキルや知見を活用し、お客様のITモダナイゼーションをご支援しました。セキュリティ対策やガバナンス強化については、Kyndryl Bridgeに新機能を追加して日本特有の課題に対処できるようにしました。また、「shift to India」を掲げ、コストを抑えながら日本語に堪能で高度なデリバリーを提供できるインドのグローバル人材の活用体制を拡充しました。
 さらに、数年をかけて、メインフレームのモダナイゼーションなど、日本における新たなデータセンターに対する1億ドル規模の投資を行っていきます。
 キンドリルは「人」を価値の中心と考え、The Kyndryl Wayと称したカルチャーの醸成やID&Eの推進に取り組んでいます。働きがいのある会社の認定、work with Prideのレインボー認定初取得など、多分野で活動が評価されました。

キンドリルジャパン
代表取締役 社長執行役員
ジョナサン・イングラム氏

2024年4月1日よりキンドリルジャパン代表取締役社長に就任。2023年7月のキンドリルジャパン副社長就任前は、ヨーロッパの大手金融機関のマネージングディレクターとしてインフラストラクチャ―サービスを提供するグローバルチームを統括し、DevOpsによるサービスの柔軟性向上やモダナイゼーションに貢献。さまざまな業界において、世界中のお客様企業との25年以上に渡る協働実績を有す。

2025年の展望

 2025年は、ITコンサルティングやITインフラサービスを提供し、お客様の変革をご支援します。その一例として、日本におけるAIプライベートクラウドの提供を開始し、お客様や学術機関がデータ主権を確保して安定かつ信頼性の高い環境を利用できるようにします。
 レガシーからの脱却は日本にとって急務の課題です。キンドリルは、経営層からインフラ担当者までの幅広いニーズに対応し、設計、導入、運用をトータルでサポートする豊富なセキュリティサービス群を用意し、セキュリティ脅威への対処をご支援します。さらに、Kyndryl Consultの強化、Kyndryl Bridgeの機能拡充、アライアンス戦略、IT人材やAI人材の拡充に向けた技術者のスキル強化を継続します。
 2025年も、キンドリルが掲げる「社会成長の生命線」を目指し、お客様そして日本社会に価値を届け、サステナブルかつインクルーシブな未来に貢献してまいります。

生成AIを「使う」段階へ転換 2025年は「AI Agent元年」に
グーグル・クラウド・ジャパン

2024年を振り返って

 2024年は、生成AIを「試す」フェーズから企業のコア業務に組み込んで責任を持って「使う」フェーズへと大きく転換した一年となりました。

 特に注目すべき点は、企業内の膨大なデータの活用が本格化したことです。企業データの約8割を占める非構造化データの活用は、企業にとって大きな課題でした。エージェント時代に向けて発表したGemini 2.0により、マルチモーダルな生成AIを活用することで、これらの潜在的なデータを自然言語で扱えるようになり、現場で使われていた非構造化データが、企業全体で活用されるとともに、AIの専門知識を持たない社員の方々へのAIの民主化が促進され、さらに企業のデータ活用の精度が向上しました。

 Gemini 2.0の進歩は、 私たちが10年にわたり投資してきた、独自のフルスタックAIイノベーションである、第6世代TPUのTrilliumなどのカスタムハードウェア上に構築されており、この先進的なTrilliumは日本をはじめとする各リージョンでお客様自身にもご利用いただけます。また、Gemini for Google Workspaceが日本語にも対応したことで、ビジネス変革に直結する生成AIの活用が進んでいます。

グーグル・クラウド・ジャパン
日本代表
平手 智行氏

1961年生まれ。87年、日本IBMにて、アジア太平洋地区経営企画、米IBM戦略部門を経て、2006年、日本IBM執行役員と米IBMバイスプレジデントに就任。国内では通信、メディア、流通、公益などの業種別事業やサービス事業を担当。11年末に退職し、米ベライゾンのエリアバイスプレジデント、ベライゾンジャパン社長に転身。15年7月、米デル バイスプレジデント兼デル代表取締役社長に就任。19年8月、デルとEMCジャパンの代表取締役会長に。同11月から現職。

2025年の展望

 2025年は、生成AI自らが状況を判断し、計画を立て、行動し、結果から学習することができる優秀なアシスタントのような存在になる、「AI Agent元年」になると考えています。

 特に「ナレッジポータルの構築」「コールセンターや顧客サポートの効率化および自動化」「テキスト、音声、画像、動画などの非構造化データの処理の自動化」などは、AI Agentが効果を発揮する領域です。

 Google Cloudは、企業内の様々なデータや知見を活用できるプラットフォーム「Google Agentspace」を発表しました。Agentspaceを活用すれば、Geminiの高度な推論能力、Googleの検索機能、そしてGoogle Cloud製品だけでなく、Microsoft 365やServiceNow、Box、Dropbox、SAP、 Oracleなどに保存された企業内データを組み合わせることができるため、生産性は飛躍的に向上します。

 企業にAI Agentを活用いただく上で必要不可欠となるポイントとして、マルチモーダル対応、ロングコンテキスト対応、グラウンディング、およびセキュリティへの取り組みに引き続き注力してまいります。

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https://enterprisezine.jp/article/detail/21074 2024/12/27 09:00

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