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2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

特集:年末特別インタビュー

【年末特集】SUBARU、楽天のCIOが語る2025年の目標 JFEのSIRTリーダーが挑む新体制

2024年末特別インタビュー:CIO/CISO編 Vol.3

 ITテクノロジーに携わる多くの方にとって、2024年は様々な意味で「転機の年」になったのではないでしょうか。日本中の組織でAIの導入が進み、それを活用するためのデータ基盤の整備に具体的に着手する事例も多く見受けられました。また、重要インフラや有名企業を狙ったサイバー攻撃が相次ぎ、マスメディアでも連日報道されたことで、サイバーセキュリティや情報保護に対する世間の関心も一気に高まりました。こうした潮流を受け、2025年の対策に向けて本腰を入れ始めた読者の方も多いことでしょう。そこで、今年も企業や自治体の第一線で活躍するITリーダーたちに年末インタビューを実施。2024年の進捗を総括していただき、2025年に見据える課題や目標を伺いました。本稿は、その第3弾となります。

以下、4名のCIO/CISO職域の方にコメントをいただきました(氏名・五十音順)。
楽天グループ 黒住昭仁氏、JFEホールディングス 酒田健氏、SUBARU 辻󠄀裕里氏

AIとクラウドで「楽天エコシステム」のさらなる発展を(楽天グループ 黒住昭仁氏)

2024年を振り返って

 IT業界全体の潮流として、2023年の「生成AIの実験」段階を経て、2024年は「生成AIの実用化」が重要視された1年だったと感じています。楽天グループでもAI化を意味する「AI-nization」が加速し、世界中の従業員によるAI利活用に加え、日本語に最適化したオープンなLLM「Rakuten AI 7B」や、AIを活用した「楽天市場」の出店店舗向け運営支援ツール「RMS AIアシスタント β版」などをはじめとする、パートナー様やお客様の生産性向上に貢献できるAIツールを公開することができました。実際のサービスやオペレーションへの生成AIの適合を通じて、世界中のあらゆる人々がAIを活用できる「AIの民主化」実現への大きな一歩を踏み出すことができたと考えています。

 また同時に、AIを活用する上で欠かすことのできないクラウド基盤の最適化にも力を入れました。楽天が保有するクラウド基盤「Rakuten Cloud」のスケーラビリティ向上に加え、CCoE(Cloud Center of Excellence)の設置、データガバナンスの徹底により、「楽天エコシステム」のあらゆるサービスを支える、より安定した基盤へと進化させることができました。

楽天グループ
専務執行役員 Group CIO (Chief Information Officer) & CTO (Chief Technology Officer)
黒住昭仁氏

関西大学社会学部卒業後、1997年に日本電信電話株式会社(NTT)に入社。4年間をNTTで過ごした後、2002年楽天株式会社(現、楽天グループ株式会社)に入社。主に開発部門で勤務。2008年に執行役員に就任。2013年にはRakuten USA, Inc.の開発部のバイス・プレジデント就任、2019年上級執行役員を経て、2022年4月専務執行役員(現職)に就任。コマース&マーケティングカンパニーのテクノロジー領域における長年のリーダーシップに加え、2023年5月にはCIO、同年9月にはCTOに就任。「楽天エコシステム(経済圏)」をテクノロジーの面から牽引している。

2025年の展望

 2025年は、これまでの実験や実用化の段階を経て、AIが「あらゆる人にとって身近なものになる」1年になるのではないかと予想しています。楽天では、楽天モバイルを通じてより多くの方に「楽天エコシステム(経済圏)」を体感いただき、さらに楽天モバイルとAIを組み合わせることで、楽天が持つ豊富なデータ資産を基に、お客様一人ひとりに寄り添った、高度にパーソナライズされたサービスをご提供できると考えています。その中でGroup CIO & CTOとして、情報セキュリティ・データプライバシーの強化や責任あるAI開発の実現を通じて、引き続き安心して楽天のサービスをご活用いただくための取り組みを進めてまいります。

 また、「Rakuten Cloud」の外部への本格展開を通して、AI関連技術を含む「楽天エコシステム」のコアアセットおよびクラウド関連の技術の提供に取り組みます。同時に、AI利用拡大に伴い消費電力の増加が注目されているデータセンターの省電力化にも注力しており、継続可能な社会の実現に向けたAIコンピューティングの実現にも尽力してまいります。

セキュリティ専門子会社を新設、グループ一丸で脅威に立ち向かう(JFEホールディングス 酒田健氏)

2024年を振り返って

 製造拠点のマイグレーションやAI、IoT、データサイエンスなどの技術によるDXにグループとして取り組む上で、セキュリティ対策は両輪をなす非常に大きな経営課題です。JFEグループでは、セキュリティ監視などの体制の確立、グループ傘下の会社約300社を対象としたサプライチェーン全体のセキュリティの一層の強化、そしてますます大切になるセキュリティ人材の獲得・育成への危機感から、「JFEサイバーセキュリティ&ソリューションズ(株)」を新たに立ち上げました。これは当社グループにとって2024年の象徴的な変化でありチャレンジでした。

 増大する外部脅威に対して、企業個社としてのセキュリティ対策の必要性が高まり続けることに加え、サプライチェーンとしての対策への取り組みの広がりや、安全保障の一環としての新たな法制度議論が本格化するなど、サイバーセキュリティの位置づけの変化を感じる1年でもありました。

JFEホールディングス
企画部 主査 JFE-SIRT長
兼 JFEサイバーセキュリティ&ソリューションズ 代表取締役社長
酒田健氏

川崎製鉄(現JFEスチール)入社以来、長年JFEスチール・グループのITインフラ・ネットワーク・セキュリティ領域の構築・運用業務に従事。2016年JFE-SIRT(JFEグループのCSIRT)立上げと同時に兼務メンバーとして参画。2019年 JFE-SIRT長兼務、2021年JFEスチール(株) サイバーセキュリティ統括部長を経て2024年4月より現職。電力ISAC理事。

2025年の展望

 2025年も企業の経営を取り巻く環境が変化し続けることは間違いなく、リスクマネジメント部門の一つとしてセキュリティ部門も色々な波にもまれるであろうことは覚悟せざるをえませんが、転覆せぬようグループを挙げてオールを漕いで乗り越えていきたいです。特に、立ち上げたばかりのJFEサイバーセキュリティ&ソリューションズがしっかり当社グループ内での役割を果たせるよう速度を上げていきます。

 また、サイバーセキュリティの活動においては共通の敵に対して企業同士、官民での連携もますます大切になっていくと思いますので、仲間を増やしていきたいと考えています。

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デジタルの匂いしかしない新工場とSUBARUの価値づくり(SUBARU 辻󠄀裕里氏)

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