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震災から学ぶ

能登半島地震の混乱下、住民状況を97%可視化したデータ連携基盤の歩み:IT難民を取り残さないために

石川県の推進リーダーに聞く、孤立集落や増え続ける避難所情報の“リアルタイム”収集法

約97%の住民の状況を把握できたワケ

 このステップ2の取り組みは2024年春ごろには軌道に乗ってきたため、次の段階としてステップ3の施策に着手した。ステップ2では主に自治体が被災者の情報を収集するための仕組みを整備してきたが、続くステップ3では自治体から被災者に対して、生活再建に関する様々な情報を発信するための仕組みの実現を目指したという。

 具体的にはデロイト トーマツの支援の下、Salesforceのクラウドシステムとbetter-future社のサービス「DX-LINE」を組み合わせ、石川県公式のLINEアカウントを生成。LINEを通じて被災者のアカウントに給付金や義援金、各地域のインフラ復旧状況など生活再建支援に関する様々な情報を、週1回の頻度でメッセージ通知する仕組みを新たに構築した。

 LINEメッセージの配信対象とする避難者の情報は、ステップ2で構築した広域被災者データベースの内容を引き継ぐ形だ。また避難所を離れて自宅や車中泊、遠隔地などに避難している被災者の情報については、LINEを通じて被災者が自ら連絡先等の情報を登録できる仕組みを用意した。

デロイト トーマツ提供資料より抜粋
【画像クリックで拡大します】

 さらに、LINEに普段触れることがない高齢の被災者に向けて、電話で情報を登録できるコールセンターの体制を整備したほか、県や市町の職員が避難所以外の場所に避難している被災者のもとを直接訪問して状況を把握するアウトリーチも行った。その結果、最終的に6市町の人口の約97%の住民状況を把握することができたという。

第2回_避難所及び避難所外被災者の支援に係る検証チーム」配布資料(2024年11月27日、石川県)、35ページより引用
【画像クリックで拡大します】

 LINEの情報発信の仕組みを設計・開発するにあたっては、県庁の職員の運用負担をなるべく抑えられるよう心掛けたという。この点について、実際にシステムの開発・運用に当たった石川県 能登半島地震復旧・復興推進部 生活再建支援課 専門員 小畠晃氏は、「デジタル支援と一口に言っても、できることがあまりに広すぎて途方に暮れてしまうのですが、デロイト トーマツをはじめとした民間各社の支援のおかげで、非常にシンプルに運用できる仕組みが構築できました」と述べる。

 具体的には、毎週配信するLINEメッセージのフォーマットをあらかじめ定義しておき、一部のテキスト情報を更新するだけで簡単にメッセージコンテンツを制作できるようにした。また被災者がLINEを通じて情報を自ら登録する仕組みに関しても、ワークフローを定型化することで効率的に運用できるよう工夫を凝らしたと話す。

次のページ
“リアルタイム”な被災者ニーズの把握はどう実現されたのか?

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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