もう単なるテキスト翻訳じゃない、API強化でプラットフォームへ
従来、DeepLの利用の大部分は、Webインターフェースを通じた翻訳だった。しかし、企業には様々なユースケースがあり、組織内で深く組み込まれたワークフローでの翻訳ニーズが高まっているという。2025年1月のAPI強化は、そうしたニーズに応えるためのものだった。
「エンタープライズ企業の場合、自動化されたシステムやアプリケーションから同時に大量の翻訳が送信されることが珍しくない。たとえば、5分間で100万以上のリクエストを受け取る可能性もある。そうなるとサービスを提供する我々としては、個々の顧客からの需要と負荷に対応し、スケーリングできることを確実にしなければいけない」とエンダーライン氏は述べる。個人のユーザーがWebインターフェースを介して手動で利用するなら、処理できる情報量は予測可能だ。しかし、自動化されたシステムでは状況が大きく異なる。
DeepLには、用途に応じた異なる特性を持つ複数のAPIがある。通常のAPIは、リクエストごとにデータを送受信し、一定のレスポンスタイムで処理を行う標準的な方式だ。そしてBulk APIは、一度に大量のデータを処理する用途に適しており、長文の翻訳などに使用される。そしてリアルタイムAPIは、テキストフラグメント(文の断片)を受け取り、翻訳を即座に返す仕組みだ。その中でもDeepLの場合は、特にリアルタイムAPIの設計と品質確保に多くのリソースを投入し、遅延を抑えつつ自然で正確な翻訳を実現できるようにした。
「DeepLは、よりカスタマイズされた方法で利用できる言語AIプラットフォームになりつつあります。API強化は、これを実現するために大きな役割を果たしています」(エンダーライン氏)
こうした強化により、企業は内部プロセスにDeepLを深く組み込むことが可能となった。Webインターフェースを介さずとも、ワークフローの中でシームレスに翻訳機能を利用できるという。これにより、グローバルなチーム間でのコミュニケーションや、多言語でのドキュメント管理、カスタマーサポートなど、様々な業務プロセスの効率化が期待できるとのことだ。