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企業ユーザー向けに進化するDeepL、生成AI時代でも戦える理由とは? CTOに技術開発の裏側を訊く

生成AI時代、DeepLの優位性はどこにあるのか?

 高精度なAI翻訳サービスとして支持を集めてきたDeepLだが、近年では生成AIの登場により、MicrosoftやGoogleなどといった大手プロバイダーのサービスも、リアルタイム翻訳や音声翻訳機能の開発・強化を進めている。こうした市場環境下でのDeepLの優位性とは何だろうか。

 エンダーライン氏は、「言語AIに特化していることが、DeepLの独自性であり優位性だ。我々のミッションステートメントは『世の中から言語の壁を取り除く』ことであり、それこそが存在意義である」 と語る。同社には何千人もの言語専門家がおり、どこよりも言語の複雑さを深く理解していると強調した。

 「DeepLは言語に特化した特殊なモデルを独自に有し、すべての努力と熱意を言語AIの開発・研究に注ぎ込んでいます。この専門性を追求する姿勢に、我々の優位性があります」(エンダーライン氏)

 この専門性は、リアルタイム音声翻訳やAPIを通じた自動化で、特に威力を発揮するという。レストランのメニューを翻訳するようなカジュアルな利用場面なら、ある程度のAIならば大まかにどんな料理があるのか理解できるだろう。しかし、企業におけるAPIを使った自動化の場合、その品質に妥協は許されない。リアルタイムの音声翻訳も同様で、完全に信頼できないAIには大切な会話は任せられないはずだ。「だからこそ、私たちは言語AIの精度向上に全力を注ぎ、世界中の人々とともに研究を重ねてきた」とエンダーライン氏は語った。

 そんな同氏が現在特に関心を寄せているのが、言語AIをより自然で身近なものに進化させることだという。

 「言語AIを人々にとってより身近に、より自然に感じられるようにすることが、今後の大きなテーマになると考えています。そのためには、品質向上への投資を続けるとともに、個人または組織内の個々に最適化されたAIを実現することが重要です」(エンダーライン氏)

 そのためには、AIがより多くの文脈を理解することが不可欠だ。その会議の文脈や参加者の特性、誤解が生じる可能性をいかに減らすかを考慮することで、技術がより自然に使えるようになるはずだという。

 リアルタイム翻訳技術が進化すれば、オンラインミーティングの在り方も大きく変わるだろう。数年後には、リモート会議でそれぞれの参加者が母語のまま話し、AIがリアルタイムで調整することが当たり前になっていくだろうとエンダーライン氏。「その時にはDeepLの技術が、Eメールを書くのと同じくらい自然に人々に活用されるようになっていることを願う」と期待を込め、さらなる技術進化への意気込みを見せた。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

2022年よりBiz/Zineで取材編集や執筆を担当。2024年4月、EnterpriseZine編集部に加入。サイバーセキュリティ、データ・テクノロジーに携わる方、テクノロジーによる変革を牽引するCIOやCDO、CISOに向けた情報を発信します。

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