2025年2月19日、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、「TBM(テクノロジー・ビジネス・マネジメント)」にかかわる説明会を開催した。
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同社は2023年、ITファイナンス/FinOps領域を拡充する狙いなどからApptioを買収、IBM Automationのポートフォリオに加えることで、2028年には約50兆円の市場規模を見込んでいる。このApptioにかかわるソリューションとして「IBM Apptio」「IBM Cloudability」「IBM Targetprocess」を提供しており、これらを包含する方法論としてTBMが存在している形だ。なお、TBMの普及・促進は、非営利団体「TBM Council」によって担われてきた。同社 執行役員 テクノロジー事業本部 Apptio事業部長の塩塚英己氏は、「(TBMは)米国などではデファクトスタンダードとなっている一方、日本での認知は十分でない」と言及すると、IBMでもIT投資の最適化を検証しており、クラウドコストを約30%、アプリケーションのTCOを約25%削減できていると自信を見せる。
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なお既に日本国内では、みずほフィナンシャルグループや横河電機、第一三共などが採用しているとのことだ。
また、TBMのエバンジェリストとして活動している日本IBM テクノロジー事業本部 Apptio事業部の浅川真弘氏は、「TBMは(民間企業に限らず)すべての企業や組織がテクノロジー投資、コスト、リソースを適切に管理し、ビジネス価値の最大化を行うための方法論だ」と説明。テクノロジー投資・調達などにかかわる部門も拡大する中、CIOはITファイナンスの価値により興味を示さなければならないとした。
そこで「ITにおけるファイナンシャルプランナーのような存在」がTBMであり、前述した課題解消に向けて活用できると浅川氏。コストの可視化からはじまり、IT予算の統制・最適化、ユーザー部門との協力関係の構築などに取り組むことで、下図のようなビジネス価値につなげていくことが、TBMの基本的な考え方だと示した。
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さらにTBM自体も改善を続けており、たとえばAIの領域であれば、NVIDIAと協業。テクノロジーの進化にあわせて、TBM Councilとして業界ごとのベストプラクティスなどを共有しているという。なお、日本においては「TBM Council Japan」としてローカライズを進めていきたいとした。
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