DatabricksをパートナーにSAP Business Data Cloudを提供
SAP Business Data Cloudは、SAPアプリケーションのデータとSalesforceやServiceNowのような外部のアプリケーションのデータ、構造化データと非構造化データをシームレスに統合し、企業全体に単一の共通データレイヤーを提供する。SAP Business Data Cloudの開発にあたっては、パートナーのDatabricksの全面協力を得て、データファブリックのビジョンやデータプロダクトのアイデアなど、最新のデータマネジメント概念が取り入れられた。
SAP CEOのクリスチャン・クライン氏はこの背景を「本格的なAI時代を迎えた今、企業全体で共通のセマンティックデータレイヤーを持つことがこれまで以上に重要になってきた」と語る。
このデータレイヤーが存在することで、企業は自社のビジネスの全体像を共有し、ビジネスに影響を与える外部要因も理解できるようになる。しかし、現実には「データサイロ」の問題が企業の実現したいビジョンへの大きな障壁となっている。
また、多くの企業はすでにデータプラットフォームに多額の投資を行っており、昨今のAI活用の機運の高まりも相まって、構造化データだけでなく非構造化データも増加の一途をたどっている。企業内のデータランドスケープを簡素化しなければ、どこに何があるのかわからない状況に陥ってしまう。
これらの問題を解決するため、新しく提供することになったのが、SAP Business Data Cloudである。

SAP製品エンジニアリング担当エグゼクティブボードメンバーのムハマド・アラム氏は、組織と業務のサイロの弊害について指摘し、新製品の提供背景を次のように説明している。
「今日、すべてのリーダーがビジネスの複雑性の増大を認識している。CFOは成長と収益性のバランス、CHROは進化し続ける人材のマネジメント、CIOはイノベーションを取り入れながらのITの近代化に取り組んでいる。しかし、本当の課題は、各リーダーが取り組む課題が相互に関連していることにある。サプライチェーンであれ、人材であれ、ITであれ、一部が混乱すると、影響はあらゆる領域に波及してしまう。企業が成功するためには、個々の課題に対するソリューション以上のものが必要になる。SAP Business Data Cloudを中核に、すべてのビジネスプロセスですべてのデータを調和させることにした」(アラム氏)
この発言は、現代企業が直面する複雑な課題の相互連関性を指摘するとともに、データの統合と調和がこれらの課題解決に不可欠であることを強調している。SAP Business Data Cloudは、企業全体のデータを統合することで、部門間の情報の分断を解消し、全社的な意思決定を支援する目的で開発されたものである。
パートナーとしてSAP Business Data Cloudの開発に協力したDatabricks CEOのアリ・ゴディシ氏も登場し、「地球上のすべての組織は、データから価値を得たいと考えている。彼らは今すぐアナリティクスを実践したい。AIを実践したい。しかし、データの問題がある。最も難しいのが、SAPのデータと他のデータをどう組み合わせるかだ」と述べていた。
Databricksは、複合AIシステム開発と運用のためのツール群を提供する「Databricks Mosaic AI」、データウェアハウスの「Databricks SQL」、形式やプラットフォームを問わずにデータを管理し、ガバナンスを効かせるための「Databricks Unity Catalog」を組み合わせ、SAPデータ環境のデータと調和させるセマンティックデータレイヤー「SAP Databricks」を提供する。
なお複合AIシステムとは、複数の相互作用するコンポーネントを組み合わせ、 AIタスクに取り組むシステムのこと。コンポーネントの中には、複数のモデルへの呼び出し、データ取得システム、外部ツールなどが含まれる。
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