Snowflakeとアジャイル開発で「UMAME!」β版リリースを加速化
2025年1月、この新体制でAIを使ったお店探しのアプリ「UMAME!(うまみー)β版」をリリースしている。現在の飲食店検索サービスの主流は、「銀座×焼き肉」のように、エリアと業態の組み合わせで行うものである。これに対して、UMAME!は「この辺にあるビールが美味しいお店を探しています」「今からサクッと飲める居酒屋」のような、会話ベースでお店を探せる点が異なる。今まではデータベース内の構造化データだけしか使えなかったが、Snowflakeに非構造化データも合わせて集約したことで、新しい検索が可能になった。
「今回のアプリ開発でわかったのが、データをうまく使うことで新しいビジネスが生まれること」と、岩本氏は今後に向けて意欲的だ。UMAME!の開発期間は6カ月で、これまでと比べるとかなり短期間でのリリースになる。リリース後もこの体制を維持しており、ユーザーからのフィードバックを得て、週1回の改良版をリリースするアジャイル開発体制も定着した。新体制には、最新のテクノロジーを迅速に取り入れられる利点もある。たとえば、2025年2月にGoogleが一般提供を開始したGemini 2.0を、利用開始翌日からぐるなびではテストできたという。「もし、初めに使うテクノロジーを決めてから開発に着手していたら、半年前の古いテクノロジーを使わなくてはならなかっただろう。現在は毎週月曜日にバージョンアップができている。開発スピードは肌感覚でこれまでの20倍ぐらいになった」と岩本氏は語っていた。
岩本氏に続いて登壇した新井氏は、部署を限定することなく、社員誰もがデータを活用できる状態を実現するための課題を別の視点から3つ挙げた。1つ目が「BIツールの学習コスト」である。全社員が使うツールともなれば、定着までに時間がかかる。オンボーディングプログラムも、エンジニアと一般ユーザーでは異なるものが必要になる。そこで試みたのが、自然言語での問いかけで、データを取得する仕組みを構築することであった。
そして2つ目の課題が「データアクセス管理」である。民主化を掲げても、機密性の高いデータを一般社員にアクセスできるようにするべきではない。そこで、ロールの設定で、データへのアクセス管理をコントロールできるようにしようと考えた。最後、3つ目の課題が「ライセンスコスト」だ。BIツールのライセンス料金はユーザー単位の場合が多く、社員それぞれの利用頻度が違っていても一律の料金になることだ。この課題に対しては、データへの問い合わせ数に応じて社内コントロールすることにした。この3つの解決に向けて構築した仕組みが、データアプリケーション開発に適したオープンソースライブラリーであるStreamlitと、Snowflakeが提供するAIサービス「Cortex AI」を利用したアプリケーションになる。