ESBにおけるイベント活用の効果
続く、日本アイ・ビー・エム株式会社 WebSphere事業部 テクニカルセールス&サービス 常盤千絵氏のセッションのテーマは、ESBが検知、作成するイベントを活用したビジネス情報の迅速な取得だ。IT業界において「イベント」はなじみ深い用語だが、本セッションでは何か「興味があること」が起こっているか、あるいは「起こる兆し」という意味で使用された。ESBでイベントにより実現したいことの一つはリスク回避だ。エラーのアラートを拾い、必要な対処を迅速に行う。そしてビジネス機会を見逃さない。データベースに格納されている静的なデータを検索して得る知見ではなく、今まさに発生しているイベント(パターン)からビジネス状況を把握し、アクションを行う。
実はESBとイベントは愛称がいい。ESBではつながっているシステムからのイベントが電気的な信号で入り、それを蓄積できる。そしてイベントをESBで拾い、アクションを起こすことができれば、様々な付加価値をつけることができる。元々ESBはサービスをつなぐバスであるから、Webサービスなどつながっているサービスを起動するのは容易だ。
イベントのパターンが非常に複雑で、ESBだけで適切に処理するのが難しいケースもある。その場合、ESBの外部にイベント処理ネットワークを構築し、連動するとより複雑なイベント・パターンを検出し、対応することができる。
IBMのソフトウェアの多くの製品では、CEI(Common Event Infrastructure)というイベント処理のための仕組みとCBE(Common Base Event)というイベントを表現するためのXML標準を採用している。CEIはイベントの送受信、イベント・バスの分散化、イベントの保持、サブスクライブ、更新、および照会といった機能を提供する。
中でもWebSphere Business Events(図3、以下:WBE)は、イベント処理に特化した製品だ。イベントから得られる情報をよりビジュアルに、統計的に表示する。ESBはイベントを検知するのと同時にイベントの発生源にもなる。WBEなどとの組み合わせにより、ビジネスが求めるピンポイントの情報を即座に得てアクションを行うことが可能になる。