ソニー銀行は、富士通と協業して勘定系システムを刷新し、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のクラウド上に構築した、次世代デジタルバンキングシステムの稼働を開始したと発表した。
同行は、デジタルバンキングの中核システムを業務単位で提供する、富士通の次期勘定系システム「Fujitsu Core Banking xBank(クロスバンク)」(以下、Fujitsu xBank)のファーストユーザーとして、ともに準備を進めてきたという。次世代デジタルバンキングシステムは、AWSのサービスを活用したクラウドネイティブなアーキテクチャで設計し、ソニー銀行のさまざまな商品・サービス、取引機能をマイクロサービス化して実装。これにより、迅速に新商品・サービスを提供、かつ既存商品・サービスを柔軟に改良できるとのことだ。
なお、今回の移行により、先行してクラウド化を進めてきた周辺システムに加え、銀行サービスの提供における最も重要な勘定系システムがAWSのクラウドサービスで稼働することになるという。これにより、AWS アジアパシフィック(東京)リージョン、および(大阪)リージョンの東阪マルチリージョンを活用したレジリエンシーを確保し、メインリージョンである東京リージョン被災時においても、早期の復旧が目指せる環境を構築するとしている。
また、ソニー銀行は、すべてのシステムをオンプレミス(自社所有)で構築していた2012年と比較して、CO2排出量の9割削減を実現。これには、AWSのエネルギー効率の高いインフラストラクチャと再生可能エネルギーへの投資が寄与しているとのことだ。
次世代デジタルバンキングシステムの特徴
- 守りのITから攻めのITへ:オンプレミスの場合、一定のサイクルで基盤更改が必要となり、ITシステム維持のための固定的IT投資が大きな負担となるという。新勘定系システムは、クラウドネイティブな構成によりそれらの固定的IT投資を低減し、新商品・新サービス開発などの攻めのITにより多くの経営資源をあてることが可能になるとしている
- 新商品のスピーディーな導入:従来の勘定系システムは、システムの複雑化により、新商品開発にかかる期間の長期化を招いていたという。新勘定系システムは、AWSのコンテナアプリケーション運用管理サービス(Amazon ECS/AWS Fargate)を活用したクラウドネイティブなアーキテクチャ上に、マイクロサービス化した各商品・サービス、業務機能を実装する疎結合なシステムとし、勘定系業務アプリケーションの資産規模は従来の40%まで削減。柔軟性と生産性の高いシステム特性を活かして、新商品をスピーディーに提供できるとしている
- 柔軟な外部連携・新技術導入:従来の勘定系システムは、外部連携や新技術導入のたびに新たなITシステムやネットワークの構築が必要など、ビジネスニーズを実現するうえでの制約となることが多くあったという。新勘定系システムは、勘定系のコア機能そのものがクラウドネイティブな構成で実装されているため、クラウド上の各種サービスを活用し、容易に外部連携や新技術導入を行えるとのことだ
ソニー銀行 新勘定系システムの全体像
- Fujitsu xBankを中心に、周辺系システムをAWS上に構築、またはクラウドサービスとして使う、疎結合で柔軟なシステム構成
- 同行の預金や決済、外資や融資といった商品をカバーする、クラウドネイティブな次世代デジタルバンキングシステムを実現
![[画像クリックで拡大]](http://ez-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/21936/1.png)
【関連記事】
・セブン銀行、「HULFT Square」導入 データ連携基盤・生成AI検証プロジェクトに活用へ
・広島銀行・TISら3者、請求書業務から決済までをデジタル化するプラットフォームを6月提供開始へ
・三菱UFJ銀行、Oracle Exadataなどで「三菱UFJダイレクト」を刷新──約5倍の処理性能