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行政の方向性が、従来の「産業育成・保護」から「消費者保護」へ大きく転換してきました。先般の福田首相の所信表明演説でも「消費者保護」に触れられ、金融庁は「消費者保護」を強く打ち出し、金融商品取引法はその一環です。
保険業界は、不払いを二度と起こさない仕組みの構築を強く求められ、従来は契約者の責任であった契約内容の管理や保険金請求も企業側の責任として管理していかなければならなくなっています。
製造業では、5月に「改正消費生活用製品安全法」が施行され、製品が事故を引き起こした場合には、10日以内に内容を報告し、迅速に原因と処置方法の公表することで、事故の拡大を防ぐというメーカ側の義務が明確にされました。PL法では消費者の側にあった証明責任がメーカに移った瞬間でした。
この法律によって、たとえ10年前、20年前に製造した製品であっても、問題があれば直ぐに製造データを振り返られるような仕組作りが必要となったわけです。現在オンラインで保管しているデータの10倍、20倍、これからビジネスが伸びていく製品であれば、現在のデータ量と2桁違う量のデータを保管することになり、既存の仕組では到底達成できないニーズがそこにあります。

ここまでお話してきました通り、情報系システムは概ね、下記の7つの方向に向かって進化せざるを得ない状況になっていると考えます。
- 既存レポートの提供頻度を上げる
- 既存レポートの情報鮮度(リアルタイム性)を向上する
- 非定型分析を追加する
- 既存の非定型分析の性能を向上する
- 既存分析・分析対象データを統合する
- 長期・大量のデータを分析する
- 業務系システムに内包された分析/集計プロセスを外だしする
このようなニーズに情報系システムとして応えていくためには、中長期的に既存データウェアハウスの設計方法をもう一度見直していくこと、情報系システム専用のデータベースへ切り替えていくことが必要になる、ということをご理解頂ければ幸いです。
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- この記事の著者
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サイベース 冨樫 明(サイベース トガシ アキラ)
サイベース株式会社 マーケティング本部 本部長。日系大手コンピュータメーカーで21年間海外ビジネスに携わった後、ベリタスソフトウェア、シマンテックでマーケティングに従事し、2006年より現職。著書に「内部統制今知りたい50の疑問―米国での実践経験から」がある。
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