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荏原製作所に新しい風を巻き起こす“精鋭集団”──3つの生成AIモデルを使い分けできる専用ツールを内製

第37回:荏原製作所 データストラテジーチーム データストラテジーユニットリーダー 田中紀子さん


 113年の歴史を持つ荏原製作所で、急速にDXが進んでいる。多様な人材が集まるデータストラテジーチームでは、デジタルトリプレットなどを活用した製造DXや、脳科学をベースとした技術開発など、ユニークな視点からの試行錯誤が始まっている。生成AI分野では、ChatGPT、Claude、Geminiの3つのモデルを使い分けできる生成AIプラットフォーム「EBARA AI Chat」を内製開発。伝統的製造企業における生成AI活用と内製開発の裏側を、データストラテジーユニットリーダーとしてけん引する田中紀子さんに聞いた。

「猛獣組織」と評される多才揃いの組織を束ねるリーダー

酒井真弓(以下、酒井):荏原製作所のデータストラテジーチームは、どのようなミッションを担っているのでしょうか?

田中紀子(以下、田中):新しいテクノロジーやデータを活用して既存事業のDXを推進し、同時にゼロイチで新規事業を創出して、ビジネス変革と成長をけん引する役割を担っています。

 約40人のメンバーのほぼ全員がキャリア採用で、映画『ゴジラ-1.0』のVFXで知られる白組出身者、脳科学者、元放送局のカメラマンなど、ユニークな人材が集まっているのも特徴です。そういったメンバーの力で、荏原製作所に新しい風を吹き込んでいます。

酒井:某誌で「異才を集めた猛獣組織」と表現されているのを拝見しました。私は田中さんにもそのオーラを感じています。

田中:私はデータストラテジーチームがスタートして間もない、2023年7月に入社しました。経営直轄で新しい技術とデータを活用しながら新しいビジネスを生み出していくというミッション、さらに荏原製作所には「熱と誠」という創業精神があり、「熱意を持って創意工夫をすれば、できないことはない」という考え方に共感して入社を決めました。

 それまでは25年間銀行で働いていました。大学で数学を専攻し、数学を用いて金融モデルを開発するクオンツ開発者として入行。その後も、プログラム開発、IT企画・推進、DX事業や新規事業企画推進など、一貫してIT・デジタル畑を歩んできました。私自身が異才・猛獣かどうかはわかりませんが、銀行の中ではかなり尖った方だったとは思っています(笑)。

酒井:田中さんは現在、生成AIプロジェクトを担うデータストラテジーユニットのリーダーを務めています。リーダーとして、尖った人材をまとめるのは大変ではありませんか?

田中:そういった人材を無理にまとめようとしなくてもよいとも思っています。経営陣も各々の個性を生かして、新しいことを生み出していけるようサポートしてくださるのを実感しています。

 ただ、既存事業への理解と敬意をもたずに新しいことをしようとしてしまうと、事業部の協力を得たり、最終的に業務に根付かせたりする段階で失敗してしまう。私自身、前職でそういった苦労をしてきた経験もあるので、尖ったところを持ちつつも、事業部の課題やニーズを深く理解し、事業に貢献することを意識するように、自分自身、そしてチームの皆さんにもお伝えしています。

 異なる領域のチャレンジに対しての評価は難しい部分もありますが、どれだけ新しく影響力があるものを生み出せたか。収益に直接つながるものは数字で見つつ、大きな成果が出るまでに時間がかかるチャレンジも小さな成果の積み上げの状況をみながら、評価していければと考えています。

画像を説明するテキストなくても可
株式会社荏原製作所 データストラテジーチーム データストラテジーユニットリーダー 田中紀子さん

長年蓄積しつつも活用できなかった「非構造化データ」活用に光

酒井:田中さんがリードしている生成AIプロジェクトについて、スタートした経緯から教えてください。

田中:ChatGPTがリリースされ始めて使ったとき、大きな衝撃を受けました。これまで新しい技術の多くはエンジニア向けのものでしたが、自然言語で質問すると答えてくれるChatGPTは子どもからお年寄りまで、新入社員から社長まで誰でも使える。この革新的で民主化された技術は、発想と使い方次第で誰にでも、どの会社にも大きなチャンスをもたらすと思いました。

 2023年7月に入社して1ヵ月後、CIOの小和瀬浩之さんに「生成AIのプロジェクトを立ち上げたい」と直接相談に行きました。ちょうど研究開発部門から「生成AIを活用して技術開発を進展させたい」という声が上がっていたこともあり、そのニーズに応えていく形で、9月にスモールな体制を作りプロジェクトを立ち上げました。

 当社には113年の歴史があり、膨大な技術情報・ナレッジが蓄積されています。ただ、今まではデータは構造化して整理しないと活用できなかったので、いくらPDFが山のようにあっても、欲しい情報にはなかなか辿り着けませんでした。それが、生成AIなら非構造化データにも直接アクセスできます。世の中のデータの90%以上が非構造化データですから、長年データを蓄積してきた企業ほど大きなメリットがあると考えました。

次のページ
なぜ、生成AIプラットフォームをマルチクラウドで内製開発したのか?

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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